Opera Softwareは、CES 2015のハイライトの一つである「スマートテレビ」に関連するHTMLレンダリングエンジンの技術を紹介している。
Operaという名前と聞くと、まず最初にPCやモバイル端末向けのWebブラウザアプリを思い浮かべるかもしれないが、実はインターネットにつないでネットワーク経由でコンテンツを楽しむことのできるテレビやセットトップボックス、ゲームコンソールといったコンシューマーエレクトロニクス製品のブラウザも長らく提供してきたブランドだ。
今年のCESではソニーがプラットフォームに「Android TV」を採用するテレビを発表したが、このたびOperaもグーグルなどが開発する「Blink」を採用したテレビ用のHTMLレンダリングエンジンをOperaが開発し、ソニーやフィリップスのAndroid搭載テレビに採用されたことをアナウンスした。その特徴を今回、Opera SoftwareのTV&デバイス シニア・バイスプレジデントであるAneesh Rajaram氏にうかがう機会を得た。
Operaのブラウザがインターネット接続に対応する家電機器に、本格採用されるきっかけとなったのは「任天堂 Wii」だった。その後ソニーやシャープをはじめ、日本企業が発売した当時はまだ“インターネットTV”などの呼び名で括られることの多かった、いわゆるインターネットにつなぐためのLAN端子を備え、WebブラウジングやVODなどストリーミングコンテンツも楽しめるテレビにOperaブラウザが広がっていった。
2009年頃にはその波が中国勢やヨーロッパ勢のインターネットTVに広がり、Operaブラウザもグローバルに普及していった。NetflixやYouTubeなどのコンテンツも、OperaのHTMLレンダリングエンジン上で走るWebアプリとしてコンシューマーに提供することができたため、コンテンツプロバイダー、コンシューマーの双方にとって“使いやすい”環境が提供できたこともOperaの拡大を支えた要因だった。
■カスタマーのニーズに対して柔軟にフィットできるのがOperaの強み
昨今では“スマートテレビ”と呼ばれるようになった、ネットワークに接続してリッチなコンテンツが楽しめるテレビ以外にもセットトップボックス、BDプレーヤー、チップセットにOperaのブラウザが採用されている。LINUX、Androidのプラットフォームへ容易に組み込むことができるブラウザであり、コンテンツプロバイダー側の視点からは、一つのHTML5ベースのWebアプリを作り込むことでさまざまな製品に対応ができ、リッチなコンテンツを制作することに専念できるメリットが得られるとRajaram氏は説明する。
Operaのテレビ用ブラウザーには、アプリケーションプラットフォームである「Opera TV Store」も用意されている。コンテンツプロバイダーは簡便なプロセスでオリジナリティの高いコンテンツをストアのプラットフォーム上に乗せることができるだけでなく、Operaを採用するスマートテレビを使う全世界のコンシューマーにアプローチができる。そこには広告ツールによるマネタイズやトラフィック計測のソリューションも用意されており、スマートテレビを基盤としたビジネスモデルを作り上げて、発展させるというシナリオも容易に描けるのである。
「Opera SDK for TV」はAndroid TVがスタートを切る以前から既に公開されており、ストアのデザインやUIを独自にカスタマイズして提供するサービスプロバイダーもある。「カスタマーのさまざまなニーズに対して柔軟にフィットできる良さがOperaが提供するソリューションにはある」とRajaram氏が胸を張る。
今回Android TVのプラットフォーム向けに開発された「Blink」を採用するテレビ用HTMLレンダリングエンジンは、CSSやWebGLとの親和性も高く、それぞれを活用することで3Dグラフィックスを駆使したアプリやゲーム、EPG(テレビの電子番組表)などを作り込んで提供することも可能になっている。
Rajaram氏は「Operaブラウザは、これからスマートテレビ上で魅力あるコンテンツを届けたいプロバイダーに、最もシンプルで多機能なソリューションを提供することができる。多くのコンシューマーが今後、モバイルだけでなくテレビの大画面でもスマートで魅力的なコンテンツが楽しめる環境づくりにOperaは貢献していきたい」と語ってくれた。