シティコミューターとして、二輪のスクーターが便利なのはよくわかるが、欲しいとまで感じさせるモデルが見当たらない。欧州カーメーカーのハイエンドモデルに乗る人たちから、そういうことを耳にしたことがあるが、そんな人たちにオススメしたいのが、ベスパ『プリマベーラ125』だ。
ベスパならではの優美なイタリアンデザインエッセンスを随所に継承しただけでなく、ヘルメットインスペースをシートの下に、そして小物入れをフロントまわりに設けユーティリティも充実し、エレガントなデザインとスクーターとしての高い機能性をうまく両立した。
液晶デジタル画面を埋め込んだメーターまわりをはじめ、表皮にこだわったシート、クロームメッキのモール、LEDのポジションランプなど、エレガントなスタイルと高級感を演出したのは、たしかに見てすぐにわかる。
問題は走りの性能、車体やエンジンの信頼性も気になるところだが、搭載される4ストローク空冷単気筒SOHC3バルブエンジンは、スタートの出だしもスムーズで、アクセルを開け続ければ速度はぐんぐん伸び、後続車を引き離すから気持ちがいい。
もちろん、エンジン始動はかつてのベスパのようにキック始動でもできるが、最新型ではセルスターターも備わり、ボタン1つ押せばエンジンは元気よく目を覚ます。
ブレーキもフロントにシングルディスクが与えられ、安心してクルマの流れをリードできるし、フロントの片持ち式リンクサスペンションは、ブレーキを強くかけてもリンクの作用によって姿勢が前のめりにならず乗り心地も良好だ。
車両本体価格は42万8000円と、国産同クラスとくらべるとチョットお高め。ちなみに、34万6000円の『プリマベーラ50』という選択肢もある。
■5つ星評価
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
快適性:★★★★★
タンデム:★★★
オススメ度:★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在、多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。