北部準州で人獣共通感染症発生
12月20日、北部準州(NT)保健局は、「類鼻疽が広がっている。雨季に入り、これまでに少なくとも1人が死亡している」と発表した。
類鼻疽は本来はげっ歯類に見られるグラム陰性菌による感染症で、幅広い種類の動物と人間に感染する人獣共通感染症。症状は、急性で発熱、食欲不振、慢性で食欲不振、元気消失。全身のリンパ節や諸臓器に乾酪化結節や膿瘍を引き起こす。ワクチンはなく、抗生物質投与が効果的とされている。
この病原菌はNT、WA州キンバリー地域、QLD州最北部、東南アジア一帯の土壌や泥水に棲んでおり、大雨では水面やぬかるみに上がってくる。この雨季には知られているだけでも6人の患者が出ており、実際にはもっと多いものと見られる。北部準州では毎年雨季には35人から45人程度の患者が発生し、多い時には100人に達し、昨季には66人の患者が出た。
NTの疫病防止センターのビッキ・クラウス所長は、「地下水飲用、負傷などの他、風の強い時には煙霧状になって飛散する細菌を吸い込んでも感染する。患者の80%は何らかのリスク要因を抱えている人だった。リスク要因には、糖尿病、飲酒過剰などで免疫系が弱っている場合、腎臓疾患、肺疾患、がん治療、ステロイド療法を受けている人なども免疫系が弱っているはず」と警告している。
この病原菌はダーウィンのナイトクリフ地区で土壌菌として知られており、土の上に寝る人も感染リスクが高い。保健局では死亡した患者は高齢者だったと発表しているがそれ以外の詳細には触れていない。
保健局では、「泥、土、溜まり水などで作業をする際には防水性の履き物を履き、土壌や泥に触れる場合には手袋を着用するよう」呼びかけている。
■ソース
Northern Territory records wet season melioidosis death; ‘Stay out of storms’, Disease Control warns