【BMW 2シリーズ アクティブツアラー 試乗】想像以上に軽快な加速、高い完成度はさすが…吉田匠

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BMW 2シリーズ アクティブツアラー
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BMWの『2シリーズ アクティブツアラー』は、2つの点で、BMWにとって画期的なクルマだ。ひとつはブランド初のピープルムーバー、平たくいえばミニバンの類であること。もうひとつが、ブランド初の前輪駆動車であること。後者に関していえば、BMWが生み出した前輪駆動車としてはすでにMINIがあるが、あれはあくまでMINIであって、BMWではない、というわけだ。

そこで現車を見てみると、Cセグメントベースのミニバン系としては、平均的なサイズであまり特徴のないデザインのクルマという印象。正直な話、ノーズからキドニーグリルを外してしまったら、BMWかどうか分からなくなるスタイリングではないだろうか。一方、張りのあるウエストラインをはじめ、どことなく筋肉質な印象を与えるデザインなのは確かで、そういう意味ではBMWらしいといえるかもしれない。

ただし、インテリアは実にBMWらしい。試乗車は3モデルある『218i』のなかの「Luxury」。ベージュのレザーシートを備え、ダッシュに明るい色のウッドトリムが配されていたこともあって、上質なBMWファミリーカーの雰囲気が見事に演出されていた。インテリア、リアシートのスペースも充分にあるし、リアのラゲッジルームにも使える空間が確保されている。トランクスルーで室内と繋げることが可能だ。

218iのエンジンはMINIの新型『クーパー』と同じ3気筒ターボで、最高出力136ps、最大トルク22.4kgmを発生、6段ATを介して前輪を駆動する。車重は1460kgとMINIより明らかに重いが、実際に走ってみると、想像以上に軽快に加速するのが意外なほどだった。5人フル乗車となるとまた違うかもしれないが、実用上の動力性能はこれで不足ないだろうと思った。

プラットフォームも基本は新型MINIと同じ、となると色々なことが想像できるが、まず乗り心地は普通にいい印象で、快適なミニバンとしての期待を裏切ることはない。しかも、ステアリング操作に対する反応が意外なほど鋭く、スッと切り込むとクルマ全体がスッと向きを変える。

MINIのようなゴーカートフィーリングはあるかというと、残念ながらそれはない。MINIとアクティブツアラー、ボディとドライバーの着座位置の高さが違うからで「ミニバンとしてはかなり軽快に走るクルマ」というのが正直な印象だ。

あまり過大な期待は抱かない方がいいと思うが、BMWブランド初のFF、そして初のミニバンとしては、かなり完成度の高いクルマなのは間違いない。さすがBMWである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

吉田 匠|モータージャーナリスト
1947 年生まれ。子供の頃からのクルマ好きが高じて、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。同誌ではスポーツカーのロードテストなどを主として担当し、ヒストリックカー、ツーリングカー、FJなどのレースにも参戦、優勝経験もけっこうあり。後にフリーランスのモータージャーナリストとして独立。自動車専門誌や一般誌に記事を執筆し、今日に至る。旧いクルマに造詣が深く、愛車の一台は1962年ポルシェ356B。

《吉田匠》

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