ヤマハの新型250ccスポーツバイク『YZF-R25』は「毎日乗れるスーパーバイク」がコンセプト。車体に注目してみると、スポーツ性と日常性を高次元で両立させた設計となっていることが分かる。スポーツ性の追及において欠かせない要素を織り込みながらも、決して先鋭化させていないのだ。
となると、スポーツ潜在能力としては劣ることになろうが、決してそんなことはない。250ccクラスでのマッチング形でもあるからだ。
フレームは、鋼管製のダイヤモンドタイプで、エンジンを剛性部材として利用している。もちろん剛性も最適化。それでいて、フロントフォークは正立型ながら直径41mmという600ccクラス並みの大径で、ラインの正確性を高め、攻めた走りにも応えるものとなっている。
ホイールベースは1380mmで、かつてのクォーターレプリカ(クォーターとは1000ccの4分の1、250ccの意味)よりも大きいが、今日の600~1000ccのスーパースポーツより30mm程度短い。スポーティながらも、安定性や居住性も期待できる設定だ。
またスイングアーム長573mmは、やはりスーパースポーツに匹敵する。ホイールベースに対するスイングアーム長の比は、スーパースポーツと同等なのだ。高いトラクション伝達性能やマスの集中感がある運動性が引き継がれているというわけだ。
前後輪分布荷重は50/50%で、スーパースポーツの前輪52~53%よりもフロントは軽い。だが、250ccなら前輪が舞い上がることへの対処は重要でなく、何より日常的にナチュラルに楽しむには、この設定が最適だ。
リアサスはリンクレスだが、ユニット装着角によって、多少のプログレッシブ効果が期待できる。タイヤはラジアルではなく、バイアスタイヤだが、このIRC製の『RX-01』は、かつてのバイアスから格段の進化を見せているタイヤだ。
リアサス、タイヤ、過剛性でないフレーム、片押し2ポットのシングルディスクブレーキが、絶妙にマッチングして「毎日乗れるスーパーバイク」を具現化している。