レクサスは、北米での評価は高いものの、生まれ故郷の日本では、イマひとつ。1~10月の販売台数は3万9807台だった。これは同じ時期のメルセデスベンツ(4万8154台)よりも少ない。そこで、販売台数の伸びを期待できる追加車種を考えた。
それが『RC』。2ドアクーペだ。ボディサイズは全長、ホイールベースは『HS』と『IS』の間。全幅はISよりも大きく、車格は『GS』とISの間に位置する。
グレードは『RC350』と『RC300h』。350は3.5リットルV6エンジン。300hは2.5リットル直4エンジン+モーターのHV。ちなみに車両価格は350は596万円~660万円。300hは565万円~629万円なので、HVがエントリーモデルになる。
走り出す前にインテリアをチェック。インパネからセンターコンソールにかけては、ISと同じイメージ。シートや内張りのカラーバリエーションは、「クローブ」というイエロー系の新色が加わった。
室内は、ホールドのよいフロントシートはウインドの圧迫感もなく、ラグジュアリーな空間が演出されている。リアシートはフロントシートの背もたれを倒して出入りする。着座位置は低くはない。それでもヘッドスペースは身長165cmまでなら大丈夫。左右のピラーは迫っているが、大人2名が短時間なら座っていられる広さだ。
トランクスペースも狭くはない。ゴルフバッグなら2セットは入る。さらにリアシートの背もたれは6:4分割で可倒する。ハイブリッドも奥行は1050mmとやや短いが、それでもゴルフバッグ1セットは入る。クーペのトランクとしては実用的といえる。
次はハンドリングと動力性能のチェック。HVの300hは「Fスポーツ」。専用のスポーツグリルとホイール、ボディカラー、シート、メーターなどを備えている。しかし、モーター走行もできる低燃費志向のハイブリッドにFスポーツは疑問。3.5リットルV6のFスポーツだけでよい。
走行フィールもハンドリング、乗り心地ともに重く、硬め。2.5リットル+モーターの加速はトルク感もあり、遅くはないのだが、300hはノーマル仕様で十分だ。
スポーティに走りたいなら3.5リットルV6のRC350。8速ATを組み合わせた0~100km/hの加速は7秒台で、4000rpmからもりもりと湧き上がるトルクと野太いサウンドを操っての走行はやっぱり楽しい。
ショックアブソーバの減衰力を電子制御し、ナビからのコーナー情報で、事前に調整するUAVI-AI-AVSも有効だった。
■5つ星評価
パッケージ:★★★★
インテリア / 居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
石川真禧照│自動車生活探検家
日刊自動車新聞社を経て1971年からフリーの自動車評論家。1982年、I.W.オフィースを設立、自動車を中心としたメディア活動を開始する。自動車を生活の道具として捉える評論を得意とし、「自動車生活探検家」を名乗る。