北米を始め、海外に軸足を置くトヨタの世界戦略車。『カムリ』は、どちらかといえば、トヨタ車のヒエラルキーにとらわれない、独自のポジションにあるセダンで、それは今も変わらない。
が、ハイブリッド専用車として、日本市場でも訴求力のあるスペックをもつ。エンジンは燃焼効率の高いアトキンソンサイクルの2.5リットルの4気筒だが、ハイブリッドにより205psのシステム出力と23.4km/リットル(16インチアルミホイール車は25.4km/リットル)のJC08モード燃費を打ち出す。
走りは実になめらか。神経を逆撫でしない乗り味は上級セダンの王道をいくもので、乗るほどにその優しいタッチが身体に染み込む。さらに静粛性の高さは特筆に値し、車外ノイズの室内への侵入が相当に遮断されているのがわかる(なので、ガラスサンルーフ付き車は頭上からの透過音が少々気になる)。
エンジン排気量の余裕から、街なかから高速走行までスムースなパワーフィールと、良好な燃費が実現されている点も見逃せない。
広々とした室内は歴代モデルの伝統だ。全幅は1825mmだが、セダンの基本のような奇をてらわないスタイルは、取り回しがしやすく、サイドミラーでの側方~後方の確認もしやすいのがいい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。