ガソリンエンジンの『up!』よりいいかも。第一印象はこれである。3気筒エンジンのスカスカ音(失礼)に、輸入車に期待する高級感が打ち砕かれるとしたら、『e-up!』で実現する電気モーターの静かな空間はかなりな高級感なのである。
するすると走り出す加速も気持ちいいし、電気自動車でときどき感じる、滑らか過ぎる加速の違和感もまったくない。その加速も、ノーマル~エコ~エコ+と切り替えられ、電力消費もコントロールできるからうれしい。
面白いのは、シフトレバーを左右と手前に操作して、回生ブレーキの回生率を変えられることだ。D1~2~3~B。これだけ聞くとむずかしそうだが、感覚はシフトダウンしてエンジンブレーキを強く効かせていくような感覚である。
下り坂では、しっかりと速度をコントロールしてくれるうえ、興味深いのは、D3やBになるとかなり強力な減速が得られるため、アクセルペダルのワンフットで街中クルージングができることだ。特に渋滞などの、のろのろ状態のところでは、流れる速度に応じて回生の強さを選んでおけば、いちいちブレーキペダルへと踏みかえず、アクセルペダルだけでことが足りる。ものすごく楽で、疲労がミニマムになる。BMWの『i3』でもこの面白さは堪能したけれど、e-up!は、これを段階的に変えられるというのがアドバンテージだろう。
気になるのは荷物スペースの広さだが、深さのある使い勝手のいい荷物スペースは健在。被害軽減ブレーキなどの装備もup!同様というのも、うれしいところである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。