東京商工リサーチが11月11日に発表した10月の全国企業倒産状況によると、倒産件数(負債額1000万円以上)は前年同月比16.5%減の800件で、2か月ぶりに前年同月を下回った。
倒産件数は、10月度としては、1990年(646件)以来の低水準にとどまった。依然として金融機関が中小企業のリスケ要請に応じていることに加え、景気対策としての公共事業の前倒し執行などの影響で抑制された状況が続いている。
負債総額は、同20.1%減の1241億1300万円で、9か月連続で前年同月を下回った。負債100億円以上の大型倒産が2か月連続で発生なしで、負債1億円未満の倒産の構成比が73.0%を占め、小規模企業の倒産が目立った。
産業別倒産件数は、10産業のうち8産業で前年同月を下回った。こうしたなか、不動産業は32件(前年同月比10.3%増)、5か月連続で前年同月を上回り、消費税率引き上げ後の駆け込み需要の反動減の影響がうかがえる。
一方、建設業は171件(同23.3%減)で4か月連続で減少した。公共投資の前倒しで土木工事が26件と大幅に減少している。飲食業や広告業などを含むサービス業他は189件(同5.5%減)で3か月ぶりに減少、卸売業は104件(同18.1%減)で2か月ぶりに前年同月を下回った。また、消費税率引き上げの影響が懸念される小売業は121件(同11.6%減)で6か月連続で前年同月を下回ったが、業種別では機械器具小売(6→12件)、ガソリンスタンドを含む燃料小売(10→12件)などで増加した。