【VW ポロ 試乗】ぱっきぱきに硬いシートにはわけがあった…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
VW ポロ TSIコンフォートライン
  • VW ポロ TSIコンフォートライン
  • VW ポロ TSIコンフォートライン
  • VW ポロ TSIコンフォートライン
  • VW ポロ TSIコンフォートライン
  • VW ポロ TSIコンフォートライン
  • VW ポロ TSIコンフォートライン
  • VW ポロ TSIコンフォートライン
  • VW ポロ TSIコンフォートライン

軽自動車が日本の販売台数の約4割になり、コンパクトカー真っ盛りの日本。しかし、同じ小さなクルマとはいえ、『ポロ』に対峙すると格の違いを見せ付けられる。

全体のまとまり感といい、鉄板の厚みのありそうな感じといい、インテリアのシックで高級エッセンス漂う雰囲気といい、やっぱりちょっと違うのだ。運転席に座って目の前に突きつけられるハンドル上のスイッチの数々に、圧倒されちゃうし(試乗車はオプションのカーナビとアダプティブクルーズコントロール=ACCつき)。

新しく採用された1.2リットルエンジンは『ゴルフ』にも搭載されたもので、燃費とパワーのバランスのよさはお墨付き。パドルシフトでシフトアップ&ダウンをすれば、7速DSGが、かちっと心地よいギアチェンジを展開する。コンパクトカーでここまでかっちりシフトチェンジを楽しめるクルマはほかにない。

調子に乗って下り坂でほいほいとシフトダウンをし2速まで落とすと、エンジンは回転数を上げて音質を一変させる。いや、変わっていないのかもしれないけれど、その音と音量にアドレナリンが少し漏れちゃう気分で、単に移動の足、家電製品同様に扱われるコンパクトカーとは違うのよと自己主張された印象である。

そんなポロは、パワステが軽い。そして、シートもぱっきぱきに硬い。ぱっきぱきは言いすぎだろうと指摘されそうだが、印象としてはそうなのだ。シート単独でも背筋を伸ばす硬めの設定なのだが、足まわりも硬いのでさらにという感じ。なぜにこんなに硬めなのかと探ってみたところ、なんとタイヤの指定空気圧が260kPaであった。そりゃ、硬いわ。ハンドルも軽く感じるでしょうよ。

けれどそこにはフォルクスワーゲンならではの考えも含まれている。フューエルキャップを開くと指定空気圧の説明があるのだが、そこには、ふつうのときと、5人乗車+荷物満載のときは260、やさしく乗りたいときは230にしてねと示されている。そうか、乗り心地はドライバー自ら選べということか。

タイヤの空気圧には無頓着な日本人。でも、最近、セルフスタンドが増加して、この部分を見る機会の増えた日本人。ガソリン代を無駄にせず、乗り心地も調整する機会も与えてくれるフォルクスワーゲンの気遣いに、日本車との考え方の違いを垣間見た。

あ、だけど、このクラスでハイオク仕様ってのは、やっぱり残念。なんとかならないものだろうか、ならないか。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞 るみこ │ モータージャーナリスト/ノンフィクション作家
女性誌や一般誌、ラジオなどで活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーと、救急医療を通じて衝突安全を中心に取材をするほか、近年はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。チャイルドシート指導員。国土交通省安全基準検討会検討員。同・リコール検討員。同・独立行政法人評価委員会臨時委員他、委員を兼任。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集