ホンダは10月28日、2015年3月期の連結純利益の見通しを前期比2%減の5650億円と従来予想の6000億円(5%増)から350億円引き下げると発表した。売上高も8%増の12兆7500億円と従来予想から500億円下方修正した。
また、グループ全体の新車販売台数計画についても、483万台から21万台少ない461万台(7%増)に引き下げた。その21万台の内訳は国内10万台、中国10万台、インドネシア1万台だ。
「いろいろな要因が重なっていると思うが、やはりリコールに伴う品質の総点検で、ニューモデルの投入が遅れたことが大きい」と岩村哲夫副社長は説明する。モデルによっては発売時期が6か月ぐらい遅れているものもあり、今期に入ってニューモデルを1台も投入していない。
ただ、そのリコールの根っこは、伊東孝紳社長が09年に掲げた「良いものを早く、安く、そして低炭素でお届けする」という方針にあると言っていいだろう。なにしろ開発現場が新製品の投入を急ぐあまりに、検証が不十分なままに販売してしまったからだ。その端的な例が『フィット』だ。なんと約1年のうちに5回もリコールしている。もちろん、こんなことは前代未聞の出来事。この結果、「お客様の来店が弱くなった」(岩村副社長)と悪循環が続いている。
また、営業利益率についても、前年同期の6.2%から6.0%と悪化している。しかし、これは二輪事業などを含めた数字で、四輪事業だけだと3.8%だ。同業他社の決算がこれからのため何とも言えないが、おそらく最低レベルに違いない。このように、“早く、安く”方針の代償は大きかったようだ。