帝国データバンクは、円安が進行していることから、輸入企業の実態調査を実施し、結果を公表した。
直接、間接を問わず、海外との間で輸入取引を行っている輸入企業は国内に7万1524社あり、このうち輸入と輸出の両方を行っている企業は1万7280社。業種別では、卸売業が3万5548社で全体の約半数を占める。次いで製造業の1万7109社、小売業の9327社が続く。業種細分類では、電気機器、衣料品、食品関連の卸売業者が上位にランクした。
直近決算の当期純損益が判明した4万4217社の損益状況を見ると、赤字企業比率は16.9%となり、輸出企業の赤字企業比率15.6%を上回っている。年商規模別では、「1億円未満」の赤字比率が35.0%となり、輸入企業全体16.9%を大きく上回っている。年商規模が小さくなるにつれて赤字比率が高まっており、急激な円安進行で、小規模企業への影響が懸念される。
都道府県別に見ると、「東京都」が2万3758社でトップ。以下、「大阪府」の1万0170社、「愛知県」の4202社、「神奈川県」の3672社、兵庫県の2715社が続いた。
為替レートが円安ドル高になった場合、輸出企業はメリットを受ける半面、輸入企業はコストアップなどのデメリットを受ける。1円の円安ドル高が日本全体にどの程度の経済波及効果をもたらすか求めたところ、日本全体の経済効果は1兆3765億円だった。しかし、海外取引形態別に効果を見ると、海外取引で「輸入」のみを行っている企業による経済効果はマイナス643億円、「輸出」のみを行っている企業による経済効果は2041億円、「輸入」と「輸出」の両方を行っている企業による経済効果は1兆2367億円。海外との取引形態の違いによって受ける効果は大きく異なる。
また、産業34分類別では、最も大きな効果を得るのは「商業」の3045億円となった。次いで「一般機械製造」の1026億円、「化学製品製造」の737億円、「対事業所サービス」の720億円、「鉄鋼」の585億円が続いた。一方で、効果が最も小さいのは「鉱業」の17億円だった。