【国際物流総合展14】燃料電池フォークリフトの実用化の可能性は?

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燃料電池フォークリフトのデモ走行
  • 燃料電池フォークリフトのデモ走行
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  • 展示されていた燃料電池フォークリフトは3号車であった。
  • 48V(直流)と100V(交流)のアウトプットを備える。
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  • 電池の交換用の穴が装備されている電動フォークリフト。

9月9日より12日にかけて東京ビッグサイトで開催されている「国際物流総合展2014」に、豊田自動織機は『燃料電池フォークリフト』を参考出品させ、展示エリア内でのデモ走行を披露した。

展示された燃料電池フォークリフトは、2012年12月から2014年3月にかけて北九州市での実証実験に使用するために製作された3台のうちの2台であった。2.5tタイプの電動フォークリフトをベースに、鉛電池の代わりに燃料電池スタックと水素タンクを搭載したもの。システムは、1世代前となるトヨタの燃料電池車『トヨタFCHV-adv』と同じものだという。ただし、瞬間的に大きなパワーを必要とするフォークリフトへの使用ということで、大電流を出し入れしやすいように二次電池としてリチウムイオンキャパシタが採用されている。35MPaの水素タンクに約1.2kgの水素を約3分で充填することで、電動フォークリフトと同様に約8時間の稼働が可能だ。

普及には、もう少し時間が必要そうな燃料電池自動車(FCV)に対して、燃料電池フォークリフトの普及の見込みはどのようなものなのだろうか? 会場にて豊田自動織機の技術・開発本部の人間に話を聞くことができた。

それによると、燃料電池フォークリフトは、乗用車タイプの燃料電池自動車とは違って、いくつかの有利な点があるという。

まずは、インフラ面。燃料電池フォークリフトは限られた場所で運用されるため、ある程度まとまった台数であれば、専用の水素スタンドを作ればいいとなるからだ。また、製鉄所などに隣接する工業エリアであれば、製鉄所で副次的に水素ができるため、それを安価に利用することが可能となる。

また、運用面でも電動フォークリフトに対して、燃料電池フォークリフトは大きな利便性があるという。通常の電動フォークリフトは、満充電状態での稼働時間は約8時間。この稼働時間は、燃料電池フォークリフトと変わらない。しかし、充電に5~8時間もかかってしまう。そのため、長時間の運用の場合、約1tもある鉛電池を載せ替える。換えの電池を2~3個用意するケースも多いという。しかも交換用の鉛電池は1セット100万円もするのだ。それに対して、燃料電池フォークリフトの充填時間はわずかに3分。交換用電池も電池交換の手間も長時間の充電も必要ない。これが、運用の現場で大きく評価されたという。

ちなみに、現在はカーボンなどの複合材で製作される燃料電池車両の水素タンクは非常に高価なもの。複合材の水素タンクの最大のメリットは軽量であることだ。しかし、フォークリフトに軽量な水素タンクは必要ない。なぜなら、フォークリフトは重い荷物を持ち上げるために、それなりの大きな自重が必要とされる。つまり、高価な複合材ではなく、もっと重い鉄製のタンクが望ましいのだ。現在は、規制がかかって軽量な複合材を利用しているが、規制が解除となれば、さらにコストダウンすることが可能となる。

こうしたメリットがあるためアメリカでは、フォークリフトの鉛電池にスワップする燃料電池スタックが人気を集めているという。また、シェールガスを利用するアメリカでは、水素の価格も安い。そのためすでに数千台単位の燃料電池フォークリフトが稼働しているという。

豊田自動織機は、日本国内だけでなく、世界でも約20%のシェアを持つ、フォークリフトのナンバー1メーカーだ。当然、燃料電池フォークリフトの販売は、日本国内だけでなく、世界市場を視野に入れているという。

乗用車タイプの燃料電池車に先んじて、フォークリフトの燃料電池化が進む可能性も見えてきたのではないだろうか。

《鈴木ケンイチ》

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