芯線にケブラーを用いた強靭なベルトで繋いだISG(モーター機能付き発電機)新搭載が何といってもキモ。“Sーエネチャージ”に進化した『ワゴンR FZ』は、走りもまた洗練させた。
何といっても新鮮なのは、アイドルストップ後の再始動時の、静かさ、スムースさ。セルモーターがギヤを介してエンジンを回さないから、ほぼ無音・無振動でエンジンに火が入る。最近は交差点で青信号になると周囲のクルマのセルモーターが一斉に回る場面に出くわすが、これなら相当に静かであるはず。アイドルストップからの復帰も、ブレーキの負圧から、ペダルのストロークをセンシングする方式に変更。不用意に足の力を抜き“エンジンがかかってしまう”頻度が低まった。
15~85km/hの間で最大6秒のモーターアシストを効かすというのも特徴。その作動状態は新設のメーター内の表示でも確認可能だ。が、グイ!とアシストが加わる訳ではなく、体感上はほとんどわからない。制御として効果的にエンジンの仕事を支援、好燃費に繋げる方向性だ。
上級車寄りの立派な顔つきを得た外観、新色の明るいグレーで広々感が味わえる室内などは、ハイグレード志向の変更点。155/65R14 75S(DUNLOP ENASAVE EC300)を履く足回りも、グレードの持ち味に見合った、心地いい系の乗り味になっている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。