【スバル WRX S4/STI 試乗】高剛性ボディがハンドリングに効いている…片岡英明

試乗記 国産車

スバル WRX STI Type S
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『インプレッサ』一族のフラッグシップから、スバルのフラッグシップへと成長を遂げたのが最新の『WRXシリーズ』だ。

2.0リットルエンジンとしては世界最高レベルのAWD(=4WD)パフォーマンスを身につけ、走りを極めた6速MT車は『WRX STI』を名乗っている。トランスミッションが無段変速機のリニアトロニックを採用するクルマは『WRX S4』と呼ばれるようになった。

6速MTを採用するWRX STIは、モータースポーツの世界で技術を磨き続けている2.0リットルのEJ20型水平対向4気筒DOHCターボを受け継いでいる。パワースペックは308ps/43.0kg-mだ。先代と同じようにセンターデフの制御特性を自由に変えられるマルチモードDCCDを標準装備した。

EJ20型DOHCターボは、レッドゾーンの8000回転まで軽やかに回り、4000回転あたりからは分厚いトルクが湧きだしてくる。とくにSIドライブをS#モードに入れてアクセルを目いっぱい踏み込むと、シートバックに身体を押し付けられる強烈な加速Gを体感することが可能だ。先代より応答レスポンスは鋭くなっている。

6速MTのシフトフィールもよくなっていた。横方向のストロークはそれほど小さくない。が、確実に、小気味よい変速を楽しむことができる。強力なシンクロ機構に加え、クラッチも強化タイプなのでサーキット走行でも信頼性が高い。

走り出して最初に分かるのが、ボディやシャシー、サスペンションなどの剛性が驚くほど高められていることだ。これが気持ちいいハンドリング、素直なハンドリングに大きく貢献している。操舵フィールだけでなく、舵を入れたときのレスポンスが鋭く、狙った方向にクルマが気持ちよく向く。

軽やかな身のこなしだが、リアのスタビリティ能力は高いから絶大な安心感がある。サスペンションの動きは滑らかだ。グリップ性能は高く、優れた接地フィールを身につけている。しかもマルチモードDCCDの採用と相まって、鼻先が軽やかに狙った方向に向きを変えた。

WRXシリーズは2種類のサスペンションを用意している。標準仕様は切れ味が鋭い。メリハリのあるコントロールを心がけると、リズミカルにクルマの向きが変わる。

これに対しビルシュタイン製ダンパーを装着したタイプSはオン・ザ・レールの走りを披露した。素直な挙動で、コントロールしやすいから意のままの気持ちいい走りを存分に楽しむことができる。この走行フィールは、一般路を模した外周路でさらに際立った。

ブレーキも安定した利き味を見せる。サーキット走行だったためブレーキパッドは市販車のものと違っていたが、制動能力とともに安定した姿勢での減速が印象に残った。

サーキット走行で気になったのは、ホットな走りを楽しむと、水温がかなり高くなることだ。また、レッドイルミネーションのメーターは刺激的だが、同系統の色調だから水温計と燃料計の存在感が薄い。もっとも重要なメーターなのに、瞬間判読性は今一歩だった。工夫して存在感を高めてほしいと思う。

新登場のWRX S4が搭載するのは、レガシィやレヴォーグで好評を博したFA20型水平対向4気筒DOHCターボだ。トランスミッションはマニュアルモードで8速になるリニアトロニックを組み合わせた。

STIと比べると高回転のパンチ力と刺激性は薄いが、その気になると6500回転まで無理なく使い切ることができる。こちらもS#モードをチョッイスすると痛快な加速フィールだ。実用域のトルクはEJ20型より太いから扱いやすいし、低回転から力強いパワーを感じ取ることができる。パドルシフトを使ってのスポーツドライビングも楽しい。

ハンドリングも軽快だ。電動パワーステアはリニアな動きでニュートラルステアだから狙ったラインに乗せやすい。一体感のあるコーナリングを魅せ、タイトコーナーでもリアが落ち着いている。乗り心地も先代のSTI Aラインよりはるかによかった。荒れた路面でもショックを上手に受け流す。両車ともロングドライブの快適性が大きく向上している。とくにWRX S4は上質な大人のロングツアラーと言える存在だ。


■5つ星評価
パッケージング:★ ★ ★ ★
インテリア/居住性:★ ★ ★ ★
パワーソース:★ ★ ★ ★ ★
フットワーク:★ ★ ★ ★ ★
お薦め度:★ ★ ★ ★ ★


片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
《片岡英明》

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