若田宇宙飛行士、東京でミッションを報告「和の心わかってもらえた」

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8月22日、JAXA 宇宙航空研究機構は、2013年11月から2014年5月まで国際宇宙ステーション第38次/39次長期滞在クルーとしてISSに滞在、後半では日本初のコマンダーを務めた若田光一宇宙飛行士のミッション報告会を開催した。

『若田光一宇宙飛行士 国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッション報告会 「聞く」「任せる」「実践する」若田船長の仕事術』は、東京・浅草公会堂で開催された。

ミッション報告会は、ISSで撮影された映像で若田宇宙飛行士が「これからそちらに向かいます」と会場に呼び掛け、ホールに登場してスタート。ISS内で撮影された多くの映像とともに、リトアニアやぺル―初の人工衛星をISS日本実験棟「きぼう」から放出したミッションやマウスの冷凍精子の保管など多数の実験、滞在中に2度にわたって行われた船外活動の支援、ロシア・ソユーズ宇宙船での打ち上げと帰還など約6か月間の長期滞在について語った。

後半のトークセッションの部では、作家・エッセイストの阿川佐和子氏が登場。笑顔の若田宇宙飛行士へ次々と率直な疑問をぶつけた。ISS滞在の後半で務めた、コマンダー任務にあたってのリーダーシップについて、「宇宙飛行士のクルーの中にも、指示を出してもさぼり気味の人がいたりしないのですか?」と直球の質問が。若田宇宙飛行士が「宇宙飛行士はみなやる気満々の人たちばかりです。……中には、疲れやすい人もいますが」と応じると「言葉を選んでいらっしゃいますね」とたたみかけた。とはいえ「今回の長期滞在では、朝になっても起きてこられない、といった人はいませんでした。もし、クルーに疲れがたまっているようであれば、コミュニケーションで察知しながら健康管理に気を付けるのがコマンダーの仕事」だという。

今回のミッションのテーマとして、ミッションパッチにも織り込まれた「和の心」とリーダーシップとの兼ね合いについて阿川氏からは「若田さんのお父さんの年代では、とも思えるクルーたちを統率していくにあたって『和の心』の方針は理解してもらえるのでしょうか? なめられないようにするために必要なことは?」との質問もあった。若田宇宙飛行士は「最初からハーモニー(和)だけではなく、最初は意見をきちんという。押すところは押す、引くところは引くという加減をします。その上でハーモニーを大切にという方針もわかってもらえたと思います。主張するにあたっては、自分をさらけ出すこと。自分に嘘はつけないし、直球勝負が一番強いのです」と、和の心は弱いリーダーシップとは違うことを解説した。

コマンダーとしての信頼を勝ちえるためには、率先してつらい作業を行うことも必要だという。生活に欠かせない設備のトイレは、ISSでは頻繁に故障がおき、船外活動の前日にトイレが壊れたこともあったとのことだが「トイレ使えないのは大きなストレスになるので、率先して直します」とコマンダー自ら手を動かしてクルーの健康を守っている。

7月から山梨県、福岡県、山口県、岩手県、埼玉県の全国5か所で開催された報告会に続き、今回の東京の報告会をもって若田宇宙飛行士はISS帰還後の最初の一時帰国の日程を終え、8月23日にアメリカへ出発する。秋季には新たに日本各地で報告会を開催する予定だ。また、終了後の記者会見で若田宇宙飛行士はアメリカでの今後の予定について、NASAが2017年以降に予定している民間有人宇宙船でのISSへのクルー輸送に向けた準備作業に参加していることを明かした。NASAは、ボーイング、シエラネバダ、スペース Xの3企業の有人宇宙船から候補を絞り込む作業を行っており、選定された宇宙船には日本人宇宙飛行士が登場する可能性もある。
《秋山 文野》

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