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【Yahoo! カーナビ 評価】無料ながらVICSに対応した本格スマホナビの実力は!?

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品

このところ大きな動きがなかったカーナビアプリのジャンルに、衝撃的な新作が登場した。そのアプリ「Yahoo!カーナビ」は、高価格なアプリが大半を占めるこのジャンルの常識を破って、完全無料を実現。これで実力が高ければカーナビアプリだけでなく市販のPND(ポータブルナビ)にまで激震を起こす可能性がある。さっそく、実際に使ってみたのでレポートしたい。


◆静かだったカーナビアプリのジャンルにYahoo! JAPANが参入

スマートフォン用のカーナビアプリは数年前まで熾烈な開発競争や人気争いが繰り広げられていたものだが、最近はすっかり落ち着いた感がある。進化の速いカーナビアプリは機能面ですぐにカーナビ専用機に追いつき、通信機能を活かした渋滞情報や地図の更新でも各アプリはすぐ横並びとなった。完成度の高い何本かのアプリが定番になると、新規のアプリもほとんど登場せず、比較的地味なバージョンアップだけが繰り返される静かなジャンルとなっていたのだ。

そこに突如として参入したのはYahoo! JAPANだ。カーナビアプリ「Yahoo!カーナビ」を完全無料というインパクトのある形で登場した。Yahoo! JAPANは大手であり、ヤフオク!などのサービスも有名なので、意外な印象を受ける人が多いかもしれない。しかし、同社が以前から提供している「Yahoo!地図」や「Yahoo!路線情報」といったサービスは非常に完成度が高く、好評を博している。様々なスマートフォンアプリをリリースしている実績もあるから、カーナビアプリへの進出は必然とは言わないまでも、不慣れな分野にいきなり進出したわけではない。

ただし、Yahoo! JAPANのカーナビアプリ進出を予想できた人がいたとしても、完全無料を予想できた人はいないのではないだろうか。本格的なカーナビアプリはそのほとんどが期間を区切った利用料の形で料金を設けており、高価なアプリでは年額5000円前後となっている。数年使い続けると、低価格なカーナビ専用機を買うより高いほどなのだ。それだけに、完全無料のインパクトは非常に大きい。

もちろん、無料のカーナビアプリがほかにないわけではない。地図アプリの定番中の定番である「Google Maps」は無料でありながら、カーナビとして使える機能を備えている。ただ、実際に使ってみると、特にビルトインのナビに慣れた人にとってはカーナビとして常用するには少々使いにくさがあるかもしれない。「Yahoo!カーナビ」もそのようなアプリであれば大騒ぎする必要はないのだが、実際はどうなのだろうか。


◆地図の一括ダウンロード不要で速くて簡単

今回使用したのはiPhone版。まずインストールしてみると、ほかのカーナビアプリと違ってほとんどあっという間に完了する。最近のカーナビアプリは地図データを一括ダウンロードしてスマホのストレージに保存するタイプが多く、インストールに数十分~数時間かかる場合も少なくない。しかし、Yahoo!カーナビはインストール時に地図をダウンロードせず、必要に応じて通信で随時ダウンロードする方式となっている。

一括ダウンロード方式は地図のスクロールが滑らかで、通信圏外でも使える、Wi-Fiでインストールするので通信量を消費しないというメリットがある。しかし、ダウンロード時間の長さや端末のローカルストレージを圧迫する巨大なデータサイズは無視できない問題だ。一方、Yahoo!カーナビのような随時ダウンロード方式は導入が簡単で、ストレージを過剰に消費しない。一方で、通信の発生時にカクカクした動きになったり、圏外では使えないという弱点がある。通信量の制限から、頻繁に通信が発生してしまうことに抵抗を感じる人もいるかもしれない。

それにしてもインストールが速く、これは地図データがないだけでなく、アプリ本体もかなりコンパクトなのではないかと考えながら起動した。すると案の定、そのインターフェースは非常にシンプルだ。

最初に地図の雰囲気をチェックしてみた。当然、Yahoo!地図と同じだろうと思いきや、全く違う。印刷物のような落ち着いた雰囲気のYahoo!地図に対して、Yahoo!カーナビはiPhoneのマップアプリやGoogle Mapsに近い雰囲気。詳細図の細かさを確認するため倍率を上げていくと、「12m」スケールまで拡大できる。地図そのものはかなりシンプルな表示だが、主要なランドマークは3D表示されるので見栄えはいい。また、道路沿いのチェーン店がアイコンで強調表示されるなど、運転中の利用を前提とした地図デザインであると感じる。


◆VICSによる渋滞回避や複数ルート選択を搭載、ルート案内はシンプルだが十分に分かりやすい

目的地の検索はキーワードや住所、ジャンルで探すことができ、電話番号検索はキーワード検索に含まれている。音声入力にも対応しており、その時のインターフェースはAndroid版がOS標準、iOS版は独自に用意した機能を利用している。

さて、目的地を検索したら次はルート検索だが、なんと3ルート同時検索になっていて驚いた。ルートは「おすすめ」「高速優先」「一般道優先」となっており、タブ切り替えでそれぞれの所要時間、料金も表示できる。これは非常に便利だ。面白いのは、「おすすめ」ルートがかなり一般道優先に近いこと。ほかのカーナビ(アプリでも専用機でも)だと、おすすめルートは可能な限り高速道路を使うものだ。ついその通りに走ってあとでETCの請求額にびっくりすることもあるので、Yahoo!カーナビの「おすすめ」ルートには好感が持てる。

ルート検索時には、VICSの渋滞情報に基づいた渋滞回避機能も働く。ただし、VICSデータを受信するにはYahoo! JAPAN IDでこのアプリにログインすることが必要だ。無料IDでいいし面倒でもないが、Yahoo! JAPAN IDを持っていない人は新規に取得する必要がある。逆に言えば、Yahoo! JAPAN IDを取得しさえすれば有料ナビアプリと同等の機能が使えるわけで、これは画期的というしかない。

続いて、ルート案内にしたがって走ってみた。これがちょっと独特な仕様で、ルート案内が始まると同時に、地図の表示が鳥瞰図に切り替わる。ここで気がついたのだが、本アプリの地図表示モードは「ノースアップの平面図」と「ヘディングアップの鳥瞰図」の2種類で、「現在地」ボタンをタップすることで切り替えができる。そして、ルート案内時には自動的に「ヘディングアップの鳥瞰図」に切り替わるのだ。要するに、Google Mapsと同じ仕様になっている。このあたりは、Google Mapsをかなり意識した作りになっている印象だ。

ルート案内の機能はやはりほかの機能と同様にシンプルで、交通案内版表示や交差点の拡大表示機能はない。ただし、レーン表示やインターチェンジのイラスト表示機能は搭載している。交差点名が強調され、音声による交差点名案内があるので、どこで曲がるかが非常に分かりやすくなっている。

高速道路走行の利用に特化したハイウェイモードも搭載している。ハイウェイモードでは、通過予定のICやJCT、SA/PAまでの残り時間を表示し、高速道路区間全体を直感的に把握しやすいと感じた。音声案内の音質は人の声に近く非常に聞き取りやすいものだった。


◆通信関連機能は充実…ガソリン価格、駐車場の満車・空車情報やYahoo!地図との連携も

通信を利用したリアルタイムな情報は充実しており、駐車場の満車・空車情報を地図上にアイコンで表示することができる。駐車場はタイムズ、リパーク、名鉄協商のデータを利用しており、設定の「施設アイコン」でそれぞれの駐車場を有効にすることにより表示される。もちろん、駐車場検索の結果にも満車・空車情報は表示されるようになっている。

ガソリン価格は「e燃費」と連携しており、ジャンル検索でガソリンスタンドを探すと価格や営業時間などが表示される。また、本アプリはJAFとも提携しており、ジャンル検索にJAF会員が優待を受けられる施設の情報が収録され、詳細情報で優待内容を確認することができる。

さらに、パソコンやタブレットでYahoo!地図を使い、見つけた場所を本アプリに転送するといった連携も可能だ。Yahoo!地図で見つけた場所を「キープ」に登録することで、本アプリと目的地データを共有することができた。ここでいうキープとは目的地登録機能のことで、Yahoo!地図とYahoo!カーナビの「キープ」は共通だということだ。


◆シンプルながらツボを押さえた仕様は魅力十分

最初にこのアプリを見た時は画期的だと興奮し、ほかのカーナビアプリが1本も売れなくなるのではないかと余計な心配をした筆者だが、実際に数日使ってみたところ、さすがにそこまで桁外れのアプリではなかった。が、期待はずれということではなく、完全無料のアプリであり、それなりに機能は絞りこまれているということ。有料のカーナビアプリと単純に比較することはできないのだ。

実際に使ってみると、設定項目が多少少ないとか、ルート案内が始まってしまうと他の機能が使えなくなる、ルートの変更ができないなどシンプルゆえの不満点はそれなりにある。地図にしてももう少し情報量を多くして欲しいと思う。

ただし、だから魅力のないアプリかというと、それは全く違う。不満はあるにせよ、十分に実用的なカーナビアプリが無料というだけで驚くべきことなのだ。それに、このアプリはシンプルながら非常にセンスよく作られている。機能を絞り込んでいるといっても安直に基本的な機能だけにしたのではない。交差点の拡大表示は削り、レーン表示は搭載する、経由地は登録できないがルート検索は3種類同時にできるというように、必要な機能、不要な機能を利用者の視点で独自に吟味・厳選している。

インターフェースも新しいアイディアがいくつも取り入れられており、シンプルでも妥協せずに使いやすさを追求している。特に感心したのがジャンル検索で、最初に現在地の近くの施設を検索するが、地図をスクロールさせてから「タップして画面内を再検索」ボタンをクリックすると、表示されているエリアの施設を検索できる。これは非常に便利だ。

ほかにも目的地検索のメニューのデザインなど、斬新でしかも使いやすい部分が数多くあり、全体に「わかっているな」と思わせるアプリに仕上がっている。現時点では、「キープ」(目的地登録)が若干わかりにくいなど荒削りな面もあるが、これはバージョンアップで解決していけるはず。ぜひこの方向性のまま完成度を高めて欲しい。無料のカーナビアプリとしては飛び抜けた存在であることは疑う余地がなく、すべてのスマートフォンユーザーにとって新たな定番アプリになる可能性は高い。

【関連リンク】Yahoo!カーナビ(公式サイト)
《山田正昭》

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