従来型『デミオ』も、ハンドリング、乗り味などコンパクトカーとしては傑出していた。なので新型は、果たして進化の“余地”があるのだろうか?という思いで試乗に臨んだ。
そしてプロトタイプながら“また明らかな進化を遂げた”ことが実感できた。ハンドリングの確かさや乗り味自体、上級の『アクセラ』同等のレベル。さらに走行中の音や振動が抑え込まれ、そのことで走りの質感も多いに高まっていることにも気づく。
1.3リットルのガソリンエンジン(92ps/12.3kgf・m)も磨き込まれたようだ。6速ATが組み合わせられたのが大きく、意のままのパワーコントロールができる。MT車も5速ながら、シリーズ最軽量(1010kg)となるボディを軽やかに走らせることができた。シフト、クラッチフィールの上等さは最近のマツダ車の水準どおりだ。
改めて室内を見渡せば、黒い樹脂一色のイメージだった従来型に対し、クラスが上がったかに思えるほど、上質感の向上がうれしい。走りの味とともに、クラスの分け隔てなく心地いいクルマを作ろう……そんなマツダの最新のセンスが感じられる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。