驚いた。日本のBセグメント車で、ここまでハイレベルなクルマが出てくるとは…。
内外装のデザイン性とクオリティ感は素晴らしく、日本の同クラスの競合車をまったくよせつけないほど。世界に出しても高く評価されることに違いない。
走りについても、スカイアクティブを採用してからの一連のマツダ車は、いずれもよくできているので、『デミオ』もそれなりであることは予想していたが、その完成度は予想を超えていた。
印象的だったのは新しい1.5リットルディーゼルの出来ばえだ。圧縮比が低い点こそ共通だが、可変ジオメトリーのシングルターボやコンパクトなインマニ内蔵の水冷インタークーラーを採用するなど、既存の2.2リットルディーゼルとはかなり違った仕様の同エンジンは、レスポンスに優れ、中回転域での分厚いトルクを獲得しているところに好感を抱いた。小さな排気量ゆえ排圧の確保が難しいであろうところを上手く工夫してターボチャージャーを使い切っている印象だ。
すでに高く評価されている2.2リットルディーゼルがトップエンドまで力強い吹け上がりを示すのとは性格は異なるが、また別の意味で1.5リットルディーゼルも、あえてディーゼルを選ぶユーザーの期待を裏切ることのないドライバビリティを備えていると思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級サルーンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに鋭意執筆中。レスポンスの試乗記には他媒体では書きにくい本音も? 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員