大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」設置のためのトンネルを公開…重力波の観測へ

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KAGRAトンネルの説明図
  • KAGRAトンネルの説明図

国立天文台重力波プロジェクト推進室は7月4日、大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」を設置するためのトンネルが、3月末に掘削を完了したことを記念し記者会見を行った。東京大学の濱田純一総長同席の下、岐阜県飛騨市神岡町で開催された。

また同日、トンネルの見学会も実施され、報道陣や関係者にトンネルを公開した。見学会には、自然科学研究機構の佐藤勝彦機構長、国立天文台の林正彦台長、海部宣男元台長も出席した。

今後は完成したトンネル内に、大型真空設備を始めとした実際の装置を設置する作業が開始される。

国立天文台では、KAGRAで用いられる超高性能防振装置や、散乱光対策光学系などの開発を行っており、これらの装置は順次導入される予定。

重力波はアインシュタインの一般相対性理論によって1916年に予言した時空の波。超新星爆発や、中性子星連星の合体などの天体現象に伴い強い重力波が放出されるとされており、このような重力波が到来すると、空間が伸び縮みすると考えられている。

重力波の観測が成功すれば、一般相対性理論の予言した物質の動きと世界との関係が確かめられ、また、ブラックホール形成のようすなど、光では観測できない宇宙の姿を観測する「重力波天文学」という新たな分野の創成につながると期待されている。

しかし、予想されている重力波によって発生する空間の伸び縮み量が3kmに対して10のマイナス17乗cm程度と極めて小さいため、重力波の観測は簡単ではないとされている。このため、重力波の予言から100年程度たった今に至るまで重力波の直接観測には誰も成功していない。KAGRAはこのような重力波を直接観測することを目指している。

《山内 博》

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