【スズキ Vストローム1000 ABS 試乗】サスセッティングで激変、ロードスポーツばりのハンドリング…和歌山利宏

モーターサイクル 新型車
スズキ・Vストローム1000 ABS
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アドベンチャーカテゴリは、言ってみれば各カテゴリーに多様化した現在のバイクに対し、70年代以前の汎用性の高いバイクを高次元化した形と言えなくもなく、そこに人気の理由があると見ていいのかもしれない。

実際、オフロードにも対応できる走破性を備えながら、多くのユーザーはオンロードのみでの使用というのが現実で、今回の『Vストローム1000 ABS』もオンロードがメインステージだ。

ハンドリングは、ゆったりとした安定性よりも、キビキビと走れる操縦性が重視されている。高速コーナーを普通に流す走りだと、安定感に浸るよりも、もっとスポーツしろと煽られる気がしないでもない。ところが、低中速の連続するコーナーでペースを上げると、ロードスポーツモデルばりのコーナリングを見せつけてくれる。「アルペンマスター」をキーワードとした作り込みに納得させられる快速ぶりである。

アドベンチャーには、もっと安定性指向が望ましいとも思ったが、リアサスのプリロード調整ノブを3回転弱めると固さがなくなり、私の体重に程よくなっただけではなく、ハンドリングもやや穏やかに変化した。オプションのトップ・サイドケース装着車では、リアサスがさらに沈み込んでいる印象で、ゆったり落ち着いたハンドリングに変貌。あらゆる好みに対応できそうな、セッティング性の高さがうかがえた。

高いコーナリング性能をサポートするかのように、フロントブレーキはかなり強力だ。しかしながらコントローラブルで、低入力の握り込みにも忠実に反応してくれ、その強力ぶりをスパルタンに感じることはない。もし、緊急時に慌てて握り過ぎたときは、ABSが働いてくれるから安心だ。

フロントフォークはフルアジャスタブルで、しかもリアサスより、フィーリングにもハイグレード感がある。ブレーキングで、大型な車体に不安定な挙動が生じることがなく、コーナリング性能だけでなく、扱いやすさにも貢献している。

トラクションコントロールはオフも含めて3段階調整式で、介入度の低い“1”では、舗装路面で、1速で急発進すると作動、それでいて普通の走りでは作動を感じない。路面状況の変化に対処してくれそうで、頼もしい。

電子制御装置満載の豪華さはないものの、走りながらでもワンタッチで角度調整できる、ラチェット機構を用いたウインドスクリーンをはじめ、現実的な装備は充実。質実剛健なスポーティアドベンチャーである。

《和歌山 利宏》

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