【VW ゴルフR 試乗】ジキルとハイド的2面性を持つハイパフォーマンスモデル…中村孝仁

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VW・ゴルフR
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これまでもV6エンジンを搭載した「R32」と呼ばれる高性能車が存在した『ゴルフ』。今回の「R」は4気筒搭載だが、史上最強のパフォーマンスを誇る。

広報からクルマを受け取るとき、「このクルマ、普通に走れちゃいますから」といわれ、街中に乗り出してみると、確かに排気系の音圧が高く、1500rpm付近では少々籠り音が気になる以外、ごく普通のゴルフのように走る。「ハイライン」や「GTI」にもオプション装備されるDCCは、このクルマには標準。そしてこいつを悪戯すると、このクルマはまさしくジキルとハイドのようにその性格を変えるのだ。

エンジンパフォーマンスは2リットル直4ターボながら、最高出力280psはゴルフ史上最強。最大トルクだって380Nmを誇る。3.2リットルV6よりもこちらの方がパワフルなのだから恐れ入る。で、その性格の違いを顕著にするのがDCCである。DCCはそもそも、エンジンのマッピングやサスペンションのダンピング性能、ステアリングのパワーアシストなどを変える機構で、モードは5段階。これがハイラインなどに装備されるDCCと決定的に異なるのは、スポーツモードがなく、代わりにレースモードが存在することだ。他のノーマル、コンフォート、エコ、そしてカスタムはハイラインなどと同じである。

では、このレースモードをセレクトするとどうなるか。もちろんエンジンのマッピングは明らかにレスポンスがシャープになり、高回転まで引っ張るギアのマッピングに変わる。しかもシフトアップのタイミングも明らかに時短。0.03~0.04秒でシフトアップするというから、もはやマニュアルがいくら上手だと言っても勝てない。しかもダウンシフトではちゃんとブリッピングしてくれる。これはレースモードでも使えるATでこれをしてくれるのだから、走りが愉しくなる。そして他のモードと決定的に違うのがエクゾーストサウンド。これは高回転まで引っ張ると快感を感じるほどいい音である。だからついつい引っ張ってしまうが、あっという間にあり得ないスピードに到達するから要注意だ。

一方でたとえば、エコだったり、コンフォートだったりをセレクトすると、快適な乗り心地に加え、アクセルオフにすればエンジンをアイドリング状態に保つコースティング機能が働いて、静かで省燃費走行をする。これは通常のゴルフとほとんど変わりはない。さすがにエクゾーストの音だけはいくらエコやコンフォートをチョイスしても勇ましいが…。

そこで、カスタムという、禁断のモードをチョイスしてコンフォートの足回りにレースモードのエンジンマッピングをチョイスすると、快適な乗り心地にドスの効いたサウンドと超速のシフトタイミグを得ることが出来る。これが実に面白かった。これだけ自由に走りやサウンド、それに快適性を変えられるクルマは滅多にない。まさに1台で何役もこなせるマルチタレントを持つクルマだった。

パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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