フェード現象での大型バス事故、起訴事実を認める

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昨年2月、大分県九重町内の町道で大型観光バスを暴走させ、乗客43人を負傷させたとして、自動車運転過失傷害罪に問われた64歳の男に対する初公判が14日、大分地裁で開かれた。被告は起訴事実を認め、検察側は禁錮1年6か月を求刑している。

問題の事故は2013年2月17日の午後5時50分ごろ発生している。九重町町田付近の町道(片側1車線の直線区間)を走行していた大型観光バスが丁字路交差点を曲がらずに直進。前方のガードレールを突き破り、JR久大本線の線路に転落。バスの車体は中破し、乗客43人が重軽傷を負った。

現場はバスの進行方向に長い下り坂となっていて、運転していた63歳の男はフットブレーキを多用。発熱によってブレーキの機能が失われる「フェード状態」となり、最終的にはブレーキが効かない状態となっていたことが判明した。同様の事故が同じ現場でこれまでに数回起きていた。

14日に大分地裁で開かれた初公判で、被告は起訴事実を全面的に認めた。続いて行われた冒頭陳述で検察側は「被告は長く続く下り坂ではエンジンブレーキを使って減速するという基本的な運転操作や注意義務を怠って事故を起こした。その過失責任は大きい」として、裁判所に対して禁錮1年6か月の実刑を求めた。

これに対して弁護側は「被告はフットブレーキの多用でフェード現象が発生することを知っておらず、悪質性は低い」、「事故後に自ら退職し、社会的な制裁は受けている」として、執行猶予付きの判決を求め、同日で結審した。

判決は6月19日に言い渡される予定となっている。

《石田真一》

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