ロシア、2030年に月基地建設へ…探査機「ルナ」後継も

宇宙 科学

2014年5月8日、ロシア日刊紙イズベスチヤWeb版は、ロシアが2030年から月の南極に有人月基地を建設する計画の骨子を発表したと報じた。前段階として、旧ソ連の月探査機「ルナ」の後継機を2025年までに4機打ち上げる。

イズベスチヤ紙の報道では、計画案はロシア連邦宇宙庁(Roscosmos)、ロシア宇宙科学研究所、モスクワ大学がまとめた。2016年から2015年まで無人の月探査機を連続して打ち上げ、技術実証を行う。2030年までに月へ有人の遠征隊を送り、月の南極付近に基地を建設して資源採掘を開始。2040年ごろまでに月面天文台や観測施設を完成させるという。

月基地建設の候補地は、月の南極付近を予定している。水素と酸素を含む月のレゴリス(砂状の表面の堆積物)を使って人間の居住施設を建造するという。4月末から5月2日までウィーンで開催された2014年欧州地球科学連合大会においてロシア宇宙科学研究所の研究者が発表した内容では、月の南極では北極に比べて水が多い可能性があり、かつ天の川銀河の観測を行うには南極が適しているとの理由だ。

月開発計画は3段階となっており、2016年から2025年までの10年間、計画の第1フェーズでは、旧ソ連の月探査機ルナシリーズの後継機を4機打ち上げる。ルナ計画は1976年に月軟着陸とサンプルリターンを成功させた「ルナ24号」で終了しているが、「ルナ25号」から「ルナ28号」まで月周回機と着陸機の2種類を開発する。ルナ25~27号は「ルナ・グローブ」計画として1990年代に再度計画されたものの、火星探査機『フォボス・グルント』の打ち上げ失敗から大幅に見直しとなっていた。

見直されたルナ計画では、2015年打ち上げ予定だった「ルナ25号」は、2016年にソユーズロケットで打ち上げ、月面への着陸技術の向上を目指す。月レゴリスのサンプル調査も行うという。「ルナ・レスールス」とも呼ばれる「ルナ26号」は2018年にソユーズで打ち上げる予定で、月の極軌道を周回する。「ルナ27号」は2019年にソユーズで打ち上げ、月極域で最終的な有人探査の候補地への着陸を目指す。月表面から2mの深さまで掘削とサンプル調査も行うという。ルナ28号については、詳細は述べられていない。また、第1フェーズの開発費は総額285億ルーブル(現時点で830億円程度)だという。

第2フェーズでは、2028年から2030年まで、有人で月軌道への周回飛行を行う。月着陸は行わず、宇宙船はRSC エネルギヤが開発する。第3フェーズとなる2030年から2040年まで、有人の月開発を開始し、月の資源を使った基地を建設、月面天文台や地球観測施設の基礎を築く。第2、第3フェーズの開発費目標は明らかにされていないが、イズベスチヤ紙では、2012年に有人月開発計画の総額は1600億ルーブルとの試算があったとしている。

Roscosmosでは、今回RSC エネルギヤやS・A・ラヴォーチキン記念科学製造合同も参加して作成された月開発計画は産業界、学会の包括的な評価を受けて実現性が検討され、ロシア政府へ送られると説明している。巨額の費用がかかる計画は実現しないとの見通しもあるとイズベスチヤ紙は伝えている。新ルナ・グローブ、ルナ・レスールス計画に関する部分では、欧州宇宙機関(ESA)と科学観測機器、精密着陸、表土採取などの技術で国際協働プロジェクトとする話し合いを進めているとしている。
《秋山 文野》

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