【ホンダ VFR800F 試乗】復活のオールラウンダー…和歌山利宏

モーターサイクル 新型車
ホンダ VFR800F(和歌山 利宏)
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『VFR800F』は永きに渡って進化を重ね、多くの人に支持されてきたものの、2007年でラインアップから消えていた。だが今回、見事なリファインを受け、復活に至った。

VFRのルーツは、1983年登場のホンダ初のV4である『VF750F』だ。それは1986年には、カムギアトレインとした『RC30』ベースのエンジンをツインスパーフレームに積む『VFR750F』に発展。その後、4年毎にフルチェンジされ、94年型では、当初、多くの人が抱いたV4車に対する違和感を払拭、完成の域に達したと思わせたものだ。

そして1998年、『RC45』ベースのエンジンを2mmストロークアップして排気量を拡大、フレームをピボットレスタイプとし、前後連動ブレーキを採用するなどした4代目に進化。車名も排気量を表記しない『VFR』となった。2002年型では、2バルブと4バルブを切り換えるVTECを採用し、フレームを強化、前後連動DCBSの特性を単独ブレーキに近付けるなど改良。そして2006年型はそれにABSを追加、ブレーキをより安全かつ自然な操作感のものへと進化してきた。

この7代目となる新型は、車名をVFR800Fと改め、5、6代目をベースに改良が施されている。

跨ると、スポーティであってもワイドレンジに使える無理のないライポジは、親しんできたVFR以外の何物でもないことは確かでも、明らかに違う。格段に軽く、それゆえマシンをスリムでコンパクトに感じるのだ。

それもそのはず。車重が9kg軽量化され、シート出しのマフラーは、右下1本出しとなり、5kgも軽量化され、鋼管製からアルミダイキャスト製になったリヤフレームは2kg軽くなり、マスの集中化と低重心化が促進されている。また、ラジエーターが左右両サイド配置から一般的なセンター配置となり、40mmスリム化され、空力的にも重量バランス的にも有利となっているのである。

そして、跨った印象以上に、走りは軽快で、素直だ。先述の改良に加え、スイングアームの剛性バランス改善もニュートラルな旋回性に貢献しているはずである。

絶対的な旋回性は先鋭化したスーパースポーツには適わなくても、ダルでも過敏でもないリズムで、意思に遅延なくマシンは運動状態を変えていく。動きに引っ掛かりとか余韻がないわけだ。スポーツバイクにとって理想的なフィーリングだ。

エンジンもトルクフルになり、特に中高回転域の力強さは、V4らしさを生かし切っている。2002年型にあったバルブ数が切れ換わる際の異音も気にならず、上質だ。

ブレーキは前後連動が廃されるも、ABSが安全機能を担う。前後単独のブレーキ操作によるマシンコントロールもしやすく、本来のスポーツ性を取り戻していることも嬉しい。

車名の末尾のFは、街乗りからツーリングにも使えるオールランドスポーツであること意味するFコンセプトを意味している。今日までのホンダのモデルで、Fコンセプトたることを最も強く主張しているモデルは、歴代のVFRだとして過言ではないと思う。

そして、新型VFRは、スポーツ性を高めるだけでなく、シート高やハンドル位置調整機構を備え、ライポジをより快適にすることもでき、レンジをさらにワイド化している。Fコンセプトが高次元化されているのである。

《和歌山 利宏》

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