【北京モーターショー14】ホンダ Concept Bベースの市販車は250万円が基準ライン

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【北京モーターショー14】ホンダ Concept Bベースの市販車は250万円が基準ライン
  • 【北京モーターショー14】ホンダ Concept Bベースの市販車は250万円が基準ライン
  • 本田技研工業(中国)投資有限公司の総経理・倉石誠司氏
  • ワールドプレミアムであるConcept B
  • 昨年から中国にてホンダがコミュニケーションするFUNTEC
  • ワールドプレミアムであるConcept B
  • ワールドプレミアムであるConcept B
  • ワールドプレミアムであるConcept B
  • 中国発のJADE(ジェイド)

中国向けのクルマを中国の人の手で作り送り出す

2014年4月20日に開幕した北京モーターショーにて、ホンダの中国現地法人である本田技研工業(中国)投資有限公司の総経理・倉石誠司氏の記者会見が開催された。

そこで投げかけられ最初の質問が、北京モーターショーで世界初公開となったコンパクトセダン『Concept B』の狙いであった。

「もともとは日本やアメリカで開発するクルマを中国に持ってきました。けれど、中国は世界一大きく厳しい市場。しかも中国のお客様も目が肥えてきました。その中で中国のお客さんにあったクルマを中国人の手で開発したいという思いで、中国専用車の『CRIDER(クライダー)』、中国発の『JADE(ジェイド)』を昨年に発売しました。どちらのクルマも、中国のお客様に支持をされています。クライダーは予想以上に売れています。ジェイドは、今まで、ああいうクルマが中国にはなくて、中国にはどうだろうな? という思いはありましたけれど、80年代・90年代生まれの我々の従業員が行けるだろうというので出しました。最初はなかなか売れなかったけれど、現状では月に7000台ぐらいのペースまできています。我々のコンセプトは間違ってなかったなと思っています」と倉石氏。

そうした「中国の人の手による、中国専用モデル」という、ホンダの新しいクルマ作りの方針の先にConcept Bが存在するというのだ。

「また、CAFE(メーカー別平均燃費規制)が非常に危機になりまして。今までホンダは、アコードとかCR-Vといった2リッター以上のクラスが得意技だったんですけれど、今後のCAFE対策を考えると、小さいクルマの方にいくでしょう」と倉石氏は語る。さらに、中国市場において、より強い存在感を発揮するために新しい市場の創造も狙ったという。

「北京を見ると分かると思いますが、本当にいろんなクルマが走っています。そのため、存在感がないと埋もれてしまう。そういう意味では、もともとCR-VもまったくSUV市場というのがなかったところに出して、それで支持されて、今SUVはものすごく伸びています。そこでジェイドみたいなクルマも入れ、新たにConcept Bを投入して、市場を広げていきたいなという思いがあります」

中国市場においてジェイドのように、コンパクトで背の低いミニバンのマーケットは存在しない。また、Concept Bのサイズ感のスポーティなハッチバックも同様な状況だ。これがヒットすれば、それがすなわち新規マーケットの創造となる。

◆FUNTECをテーマに、ホンダの技術の高さをアピール

昨年からホンダは、中国におけるブランド・イメージを「FUNTEC」という言葉でコミュニケーションしている。ホンダの高い安全・環境・先進技術には楽しさが内包されることを示すものだ。

「我々が当たり前に知っている、本田宗一郎さんの話やF1の話など、そういったストーリーが伝えきっていなません。それを分かりやすく言うために、我々の技術はFUNTECだよ! と。イメージは、“インテル入っている”でしょうか(笑)。そう思ってもらおうと去年からいろいろと始めました」

具体的に、何をもってFUNTECかといえば、ハイブリッドを筆頭としたホンダの誇る高い技術そのものだろう。優れた燃費性能、先進の安全運転支援技術、車外とつながるコネクテッド技術などが、当然のことConcept Bに盛り込まなければ、せっかくのアピールも空振りになってしまう。逆に言えば、誰もがFUNTECと認めるクルマができれば、それは非常に魅力的なものになるはずだ。

そのFUNTECを実現させる鍵になりそうなのが、昨年の11月に中国・広州に設立した、HMCT(本田技研科技(中国)有限公司)の存在だ。これは、中国ホンダ直轄で、新型モデルの研究開発・購買・生産を担う。つまり、ここでConcept Bをはじめ、今後の中国専門モデルの開発が行われるのだ。

「Concept Bの価格はまだ考えていませんが、このクラスであれば、10万元を切るところから上は15万元(250万円)までが主流であるので、ハイブリッドは別として、そこに入れていかないとダメかなと思います」とも言う。

本家本元ではなく、地産地消のような新しい手法を使いつつ、ホンダらしさにもこだわろうという、難しいクルマづくりへの挑戦だ。Concept Bをルーツにする市販モデルが登場するのは2年後のこと。ホンダらしさいっぱいの5ドアハッチバックといえば、かつて大人気を集めた古いシビックを思い出す。当時の日本の若者が諸手を挙げてシビックを受け入れたように、中国の若者に評価されるクルマができれば、中国におけるホンダの存在は大きく変化するのではないだろうか。

《鈴木ケンイチ》

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