45人死傷の高速ツアーバス事故、被告の睡眠時無呼吸症候群を認めず

自動車 社会 社会

2012年4月に群馬県藤岡市内の関越自動車道上り線で発生し、45人が死傷した高速ツアーバスの事故について、このバスを運転していた45歳の男に対する判決公判が25日、前橋地裁で開かれた。裁判所は懲役9年6か月の実刑と、罰金200万円の支払いを命じている。

問題の事故は2012年4月29日の午前4時40分ごろ発生している。バスは石川県金沢市から東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)へ向かっていた高速ツアーバスで、藤岡市岡之郷付近の関越自動車道上り線を走行中に路外へ逸脱。道路左側の防音壁に突っ込み、車体を貫通するような状態となった。この事故で乗客乗員46人のうち、客7人が死亡。38人が重軽傷を負っている。

バスを運転していた43歳(当時)の男も重傷を負ったが、警察は後に自動車運転過失致死傷容疑で逮捕。警察は居眠り運転が事故の主因とみていたが、男は突発的かつ瞬間的な睡眠で状態が原因だったと主張。公判でも被告弁護側はこれに沿うかたちで「予期せずに強い眠気に襲われる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の状態で、事故直前に眠気を感じることなく睡眠状態に陥った」と主張していた。

これに対して検察側は被告が極端な睡眠不足状態だったことを指摘。事故前から蛇行や急な加減速を繰り返していたことも明らかにし、「被告は事故の約20分前から激しい眠気を感じていたのに運転を継続した結果として事故を起こした」として、真っ向から争う姿勢を見せていた。

25日に開かれた判決公判で、前橋地裁の高山光明裁判長は「被告は睡眠不足と疲労による眠気を覚えながらも運転を中止することなく、漫然と継続した」と指摘した。

その上で裁判長は被告側が主張していたSASによる突発的な睡眠状態については「裏付けがない」としてこれを退け、「被告は事故の発生を未然に防ぐ注意義務を怠った」と認定し、被告に対して懲役9年6か月の実刑と、罰金200万円の判決を言い渡した。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース