【SOCIAL MEDIA WEEK 東京】東京五輪2020はテックベンチャーとクリエーターの集積地になる

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2020年開催予定の東京オリンピックを今までにないものにするにはどうすればよいのか。

様々なアプローチがありうるが、このうちテクノロジーによって起こせる変化はなんだろうか。答えを紐解くには、まずは東京オリンピックがどのようなコンセプトのもとにつくられようとしているかを知る必要がある。

世界8都市で同時開催されたソーシャルメディアウィークでは、6年後に開催される東京オリンピックのコンセプトとテクノロジーについての講演についてレポートしたい。タイトルは『2020年東京オリンピックとテクノロジー革命』。

登壇者は東京大学、慶応大学教授の鈴木寛氏、トルク取締役および開発者の川田十夢(かわだとむ)氏。司会を務めたのは8bitNews の創設者かつ最高経営責任者である堀潤氏だ。


◆招致が成功したのはなぜ? ヒントはIOCの苦悩だった

東京オリンピックのコンセプトは何か。そのコンセプトと、東京への誘致が成功した経緯を関連付けながら鈴木氏が説明した。


オリンピック招致に長年尽力してきたという鈴木氏。2009年にはいわゆる“コペンハーゲンの涙”を味わっている。

鈴木氏によれば、招致達成にいたるまでの課題は3つあったという。一つは8万人以上動員できるような国立競技場がないこと。2つ目は国内支持率が低かったこと。そして重要なのは三つ目の理由。“二回目のオリンピックの意義を問う”ことだ。「なぜ同じ都市で2回目のオリンピックをする必要があるのか、自分たちでまずきちんと消化し、伝えることが重要だった」(鈴木氏)。なぜなら新興国が先進国のデビューをする意義をもつリオデジャネイロや北京と違い招致する意義は訴えにくいからだ。

では鈴木氏らはどのような理由付けによって招致の意義を説いたのか。

一つは上に述べたような新興国のデビューとロンドンの様な先進国を交互にする方がいいという独自の理論。もう一つはIOC自身も悩んでいた「なんのためのオリンピックか?」という疑問に関連する。オリンピックは歴史的には国威発揚の意義があったが、やがてロサンゼルス五輪以降、商業オリンピックとしての色を濃し、方向性のブレに悩まされていたという。

そこで鈴木氏は「もう一度平和の祭典としての原点に返った方がいいのではないか」と訴え、原点回帰するパートナーとして自分および自国を売り込んだことがウケたという。


◆ウサイン・ボルトが小学校のグラウンドに三次元で現われるような

つまり2020年東京オリンピックのコンセプトは原点に立ち返り、「平和」そして「共生」を訴えかけることを意図したという。すなわち、スポーツは世界の人をひとつにする、というシンプルな原則に戻ることを意味する。

したがって共生のスコープには当然にパラリンピックも含めたい、と鈴木氏は話す。しかしながら今現在オリンピックとパラリンピックとの距離は遠く、IOCも積極的に近づこうとはしていないのが現状だという。だから2020年をきっかけに「日本の力でもっとおちかづきになれたら」と鈴木氏は意気込む。

だから競技の中に、もしくは競技と並行して「障害」者との混成チームがあってもいい。それだけではない。ロボットと人間の混成チーム、犬や猫と人間の混成チームもあっていいのでは、というアイデアもだされた(川口氏)。

ではここで、テクノロジーは「共生」とどのように繋がるのか。川田氏いわく「テクノロジーによって(一つの)場所に宿った記憶をあらゆるところで再現できる」。すると「小学校のグラウンドでスポーツ選手の姿がみえるような」(堀氏)感動の共有もありうるという。またロボティックスを駆使した場合再現方法の可能性は、さらに広がる。川田氏は「オリンピック選手の動きを記録させ、骨格からその動きをロボットが再現することもできる。」と発言し映像にはできないロボティックスならではの役割を示唆する。

つまりこれからテクノロジーが“オリンピックの感動の一瞬をいかに共有させるか”という点が重要になりうるようだ。


◆オリンピックはベンチャーやクリエーターが大舞台に参入するチャンス

ではオリンピックの感動の一瞬を、人々の胸にささるように共有するにはどうすればよいか。これを考えるヒントがソーシャルメディアの一元性に隠されているという。

現在ソーシャルメディアは「入り口が整備されていなくて全部がごちゃ混ぜになっている状態。全部が同じ周波数にのっていて気持ち悪い」と川田氏は指摘する。だから、必要なのは「自分の意識を変えて自分の気分にあったソーシャルメディアに変えられる」(川田氏)ような、いわば「意識チャンネル」。この意識チャンネルができればもっと色んな人が入れるようになるのではないか、と提案する。

このような感動の共有は、発信する場でも変化が起きるようだ。

感動の発信地になる予定なのは現在構想中の新国立競技場。次世代スタジアムとして人を入れる「器というよりもあそこでどういうテクノロジーを実装してどういうコミュニケーションを実現するか」(鈴木氏)に重点を当てているという。

ではその枠組み作りは誰がするのか。この点、「日本のテクノロジーベンチャー企業やクリエーターたちが大舞台に参入するチャンスであり、彼らがイノベーションをおこすキッカケにもなるという。」(鈴木氏)

今まではオリンピックの場づくりというと、「若い人からの隔たりの意識を感じられていて」(堀氏)大企業や大学しかアクセスできないイメージを持たれていたが、今後は必ずしもそうでないようだ。鈴木氏いわく、「オリンピックはおしり(締切)が決まっているので、とにかく間に合わせないといけない。だから安くしっかりつくれる人が勝つ実力の世界」だ。

だから東京五輪の次世代スタジアムはテクノロジーベンチャラー、コンテンツクリエーターの集積地になり「もはや競技場と呼ばれなくなるかもしれず、エンターテイメントが収益の半分は占めるような」(鈴木氏)ものにもなりうるという。

では具体的にはどんなものがつくられうるか。起こりうることの一つに、一つのサッカーゲームを500台くらいのカメラで実装し共有するパブリックビューイングが挙げられた。プロジェクターでもう一度立体的に三次元で再現できれば誰にでも選手たちの超人性がよりリアルに感じられるようになる。また一つのゲームでも本田選手目線でのリプレイ。本田選手による解説もつけて複数の仕様がつくられうる。

これを「最終的には世界中のビッグスタジアムでできたら。」(鈴木氏)つまり東京を「メディア発信の拠点」(堀氏)とするイメージだという。


◆川田十夢氏が実現したいこと“情報をちぎる”

最後に東京オリンピックがどのような意味をもってほしいかについて、川田氏は「一点のイベントだけにしたくない。向こう50年を見据えて何かを残したい。なぜなら、自分たちも前の東京オリンピックにインフラなど様々な部分で支えられているから」とコメント。

また東京オリンピックに際して実現したいことがもう1つあるそうだ。それはデジタル情報を「ドラックあんど“ちぎる”」こと。ただ冷たい情報としてではなく、「思い出をちぎるような」ことがしたい。非言語コミュニケーションの進化として、日本のアニメーションのすごさを活かしたものをつくりたいと語る。

なぜなら「写真だけでは向こう側にある情報がみえないから。今ぼくが会場で笑いをとっていることも写真では伝わらない。画像に残ってない雰囲気や天気などの情報は、ソーシャルメディアにもちかえるときに補足しないといけないでしょ」。だから「自分が知覚できなかったものも補足してくれるような」、拡張現実感に触れられるようなものを追求できるオリンピックにしたい、という想いを強く語った。

最後に鈴木氏は「一番大事なのはスポーツを通じ、みんながどこかのスポーツコミュニティに入るためのプラットフォームの役割ができれば。無縁社会や孤立死などが問題視される中、障害者、外国人、老若男女含めみんなに居場所と出番がある社会になるきっかけにしたい」という想いを語り、セッションは幕を閉じた。
《北原 梨津子》

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