理化学研究所など、ISSに搭載した全天X線監視装置で新星爆発の瞬間に発生する「火の玉」を初観測

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重量級の白色矮星の爆発の瞬間を捉えたMAXIによる撮像画像(左)と想像図(右)出展:理化学研究所
  • 重量級の白色矮星の爆発の瞬間を捉えたMAXIによる撮像画像(左)と想像図(右)出展:理化学研究所

理化学研究所は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で開発し、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載した全天X線監視装置「MAXI」を使って、新星爆発の瞬間に重量級の白色矮星を包みこんだ「火の玉」を初めて観測することに成功した。

これは、理研グローバル研究クラスタ理研のMAXIチームの森井幹雄協力研究員らを中心とした全国のMAXI研究グループと、NASAのスウィフト衛星チームの協力研究者による共同研究グループの成果。

ISSに搭載されている全天X線監視装置「MAXI」は、小マゼラン星雲の方角に通常の新星爆発時の約100倍という極めて明るい軟X線(エネルギーの低いX線)閃光を放射する新星(MAXI J0158-744)を検出した。

スウィフト衛星の観測データも合わせた解析により、この閃光は非常に重い白色矮星で起こった新星爆発の初期に星全体を包み込んだ「火の玉」からの放射と分かった。「火の玉」からの軟X線閃光の観測は史上初。

今回の観測は、軟X線の波長領域で全天の突発現象を監視するMAXIの特長により、可能となった。

一方、高い分解能を持つ分光観測装置(SSC)が、閃光の中に電離したネオンのX線の輝線を検出した。これは既存の新星爆発理論では説明できないため、新星爆発の理論に大きな影響を与えている。また、この観測から期待される白色矮星の質量は既存の理論予測を超えており、天文学に広く影響を与える可能性があるとしている。

今回の結果は米国の宇宙物理学の専門誌「Astrophysical Journal」(12月1日号)に掲載される予定。

《レスポンス編集部》

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