アウディ『A3スポーツバック』がフルモデルチェンジを受けた。でも外観デザインは従来のモデルとほとんど変わっていないかのような印象。良く見れば分かるというし、アウディらしいといえばその通りだが、だとしてももっと変化が欲しい。
もっと変化が欲しいのは1.4TFSIについても言えることだ。それは従来のモデルに対してはではない。走らせた印象がVW『ゴルフ』に近いからだ。
新しいA3はMQBと呼ぶモジュラー開発・生産システムが採用されたことで、ゴルフとの関係がこれまで以上に近しいものになった。そのことがゴルフと似た走りの印象を与えているのだと思う。
だから、アウディらしさを求めるなら1.4TFSIではなく1.8TFSIクワトロを選ぶと良い。パワフルなエンジンはゴルフとは違うものだし、クワトロであることもアウディらしさにつながる。
ファッション性を重視して走りを余り意識しないユーザーなら1.4TFSIでも十分だと思うが、ゴルフとの違いをはっきり感じたいなら1.8Tの方がお勧めだ。
新型A3ではインフォテイメント機能が進化した。MMIベーシックが全車に標準装備されたほか、オプションを含めれば車内で8台の端末にWiFi接続が可能になり、またグーグルアースやグーグルストリートビューを取り込んだ表示が可能となる。
この新しさは特筆できるポイントだが、クルマの魅力がクルマ本来の魅力から離れた部分で語られるような感じになるのが微妙なところ。最近はクルマの新しい価値として“つながる”が言われることが多いが、クルマを運転しながら“つながる”をどれだけ意識するのか、改めて考え直す必要があるように思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。