基本は電気自動車。
正直なところ、シリーズやらパラレルやらとハイブリッドシステムを巧みに使い分けて走ると説明されても、ドライバーにとってはどうでもいい話。っていうか、よくわからない。いや、頭では理解しているものの、走行中、切り替わっても、それがいつなのか(ここで『今でしょ!』と、突っ込まないでいただきたい)、なにが違うのか、さっぱりわからないくらい上手に切り替わるのだ。
常々思っていることは、人は電子レンジの構造や機能を理解しているわけではない。それでもみんな使いこなして、自分だけの利用術なんてものも身に着けている。こうした新技術も、「なんかわからないけれど、燃費がよくて便利」。そんな気分で使っていいと思う。
そして、使いこなすという意味では、バッテリーの残量を、ドライバーの意思でコントロールできるというのが面白い。「セーブ」「チャージ」のスイッチひとつで、上手に使ったり貯めたりは、まさに求められていた機能。だってせっかくHVで「EV走行中は静かに走れます」と言われても、深夜の住宅地に帰ってきたとたんバッテリー残量を使い果たしエンジンがぶおんと始動するのではお話にならない。使いたいときにその機能が使えてこそ、技術は価値があるのである。
パドルシフトで回生ブレーキの強弱を決めてエンジンブレーキの強さを変えるというのも、面白いアイディア。EVってなんだか「乗らされている感」が強いと思っていたけれど、アウトランダーPHEVは、いろんな意味で自分で乗りこなして使いこなせるクルマなのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。