【ストラーダ R500WD-D】高速通信を実現する“次世代ETC”、DSRCはカーナビをどう変えるか

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トヨタ/ダイハツ車、日産車の200mmワイドモデルにジャストフィットするCN-R500WD-D
  • トヨタ/ダイハツ車、日産車の200mmワイドモデルにジャストフィットするCN-R500WD-D
  • 東関道から都心に向かうルート上で表示されたITSスポット情報。音声ガイドで所要時間が読み上げられた
  • 複数の事故が発生した様子も一目で把握。その様子は音声でもガイドされた
  • 事故の発生も事前に画面上でガイド。該当箇所までの距離まではガイドされない
  • 落下物があること情報も反映。渋滞している原因の特定ができる安心感もある
  • 進行方向にあるトンネル内などの様子は静止画像で随時更新して表示される
  • DSRC車載器セットモデルのCN-R500D-D。幅180mm。DSRCレスモデルもある
  • DSRC車載器セットモデルのCN-R500WD-W。幅200mmのワイドモデル。DSRCレスモデルもラインナップ

この夏登場したカーナビの中で、一際気になった存在がDSRC車載機を標準装備にしたパナソニック ストラーダ『CN-D500WD-D』(200mmワイドモデル)だ。“次世代ETC”と言われ、通行料金の決済だけでなく、交通情報までも取得可能にしたDSRCはカーナビをどう変えるのだろうか。

◆「ITSスポットサービス」を全国1600カ所に展開

DSRCとはDedicated Short-Range Communication(狭域無線通信)の略称で、ETCと同じ5.8GHz帯を用いた双方向無線通信技術のこと。国土交通省ではこの通信技術を使った「ITSスポットサービス」を高速道路中心に全国約1600カ所で展開しており、2.5GHzを使ったこれまでのVICSビーコンよりも大量のデータが送受信できるサービスを可能にしている。

具体的には、道路交通情報提供サービスとして1000km級の広域交通情報を利用した最適ルートの検索、安全運転支援サービスとしてはカーブの先の渋滞状況や合流地点での合流車注意喚起などを得ることができる。一部では画像情報で進行方向の状況を把握することも可能だ。また、将来的には駐車場やドライブスルーでの料金決済サービスといった様々なサービスも計画中で、これまでのETCカードをそのまま使用することができる。DSRCが“次世代ETC”と言われる所以だ。

◆DSRC車載器を標準で同梱したストラーダ CN-R500WD-D

ストラーダ『CN-R500WD-D』にはこれを実現するためのDSRC車載器が標準で同梱され、カーナビと接続する専用ケーブルも同梱。DSRC車載器で得た情報をR500WD-D上で反映可能にしている。取り付け時にはETC同様、セットアップが必要になる。しかし、この組み合わせにより、従来は別売されていたVICSビーコン受信機が必須だった渋滞考慮探索が、高速道路上でのみ可能になるのだ。ビーコン受信機を装着しなくても済むため、ダッシュボード上はスッキリ。取り付け料金もETC車載器とほぼ同じ。これらもDSRC車載器を利用するメリットになる。

DSRC車載器を取り付け、その効果を実感できるのは高速道路に入ってからだ。路側に設置してあるITSスポットの下を通過すると、画面上には道路交通情報をはじめ、渋滞やカーブ、落下物といった道路上に発生している事象を事前に知らせるサービスが表示される。VICSビーコンと大きく違うのは、この情報には音声案内も含まれることだ。あくまでテキストを読み上げる電子合成音(Text to Speech)によるものだが、この情報を提供されるのもDSRCが持つ大容量通信がもたらす恩恵でもある。

◆ロングドライブで効果を発揮する広域情報

ITSスポットで得られる道路交通情報は従来のVICSビーコンとの実は大差ない。場所によってはより遠くの情報を表示したりもするが、大半はVICSビーコンで表示される内容とほとんど同じだ。ただ、この情報にはより遠方までの旅行時間情報が含まれていることが重要。もし、200kmを超えるような場所で渋滞などのアクシデントが発生するとそれを避けた高速道路の利用に切り替えたりするのだ。なかなかこの状況を体感できる機会は少ないが、いざという時に大きな効果を生み出すことは間違いない。

注意点としては、この情報によるメリットが受けられるのは原則として高速道路上でのみとなっていることだ。現段階でITSスポットサービスが提供されているのは高速道路上が大半で、一般道は災害情報を提供するために設置された約20箇所のみ。つまり、あくまでDSRC車載器によって渋滞考慮探索が行えるのは高速道路上のみで、一般道を走行しているときはFM多重によるVICS情報を表示するだけとなってしまうのだ。

一応、R500WD-D本体には、過去のVICS情報を元にした『渋滞データバンク』が収録されているが、突然発生した事象には対応できない。FM多重によるVICSも交通規制のみしか経路探索の対象とならない。そこでオススメなのは、R500WD-Dに組み合わせ可能なVICSビーコン・CY-TBX55Dも同時に組み合わせて利用することだ。「ダッシュボード上がスッキリする」ことと矛盾してしまうが、一般道での渋滞考慮も期待するならこの方法がベスト。この組み合わせにより、高速道路~一般道のいずれでも最短ルートのガイドが可能になるのだ。その安心感はかなり違う。

◆先の情報を入手できる安心感は違う

実際、試乗中でも何度も経路変更を体験したし、それに従うことでよりスムーズに走行できた(比較したワケじゃないからあくまで体感上)。何よりも首都高速みたいにカーブがやたら多い場所でも、その先に何が発生しているかも事前に案内してくれるのはとても心強い。もちろん、これに頼り切ってしまうのは危険だが、情報を事前にもらっておくことの安心感は高く、この機能に慣れると手放せなくなってしまいそうだ。

それと、DSRC車載機を用いたメリットがメモリーナビであるR500WD-Dで可能になったことも見逃せない事実だ。これまでメモリーナビはエントリー機であることがほとんどだったし、DSRCのような最先端サービスを標準機能とすることはなかった。DSRC車載器との接続ケーブルも同梱して単体で購入するよりもお得な価格設定になっているのもオイシイ部分。カーナビ本体にもR500WD-Dは魅力的な機能が数多く搭載されているが、このDSRC車載器だけを考慮しても本機を選択する価値は十分あると言っていい。

《会田肇》

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