『ゴルフ』は、ヤバいクルマだと思う。デザインにはソツがなく、インテリアは的確なレイアウトで使いやすく、ボディ剛性は超秀逸でロングドライブへの期待感が高まり、ミッションのDSGは小気味いい。
燃費がよくて、後部座席も十分な広さがあり、トランクはものすごく広く、いわゆるクルマ評価のマトリックスでいえば、きれいな形の大きな「くもの巣」ができあがっているのだ。
新型ゴルフに試乗して、その思いが決定的になった。どこをどうケチをつけたらいいんだろう。料理も掃除もうまく、美人で気立てのいい嫁のアラ捜しをする姑の気分だ。嫁、いないけれど。
しかし、このボディ剛性のよさはなんだろう。レーシングドライバーじゃなくったって、この乗り心地のよさは、間違いなくよくわかる。ドアを閉めたときの音のよさ。ちょこっと走り出したときの振動の少なさ。路面の凹凸へのいなしのうまさ。ハンドルをきったときの反応のよさ。こんなによくしてもらったら、姑としては、ボケが早まるではないかと心配になる。嫁、いないけれど。
ハイブリッドが燃費のよさの目印のように言われる日本だが、あれこれ機械を乗っけて複雑&重くしなくても、こんなに気持ちよく走れる『ガソリン・エンジン』があれば十分だろう。そして、こんなにゴルフを高評価し、ベタ褒めしているというのに、心のなかに反発心がちらちらしてしまうのはなぜだろう。人間、優等生には反感を買ってしまうのか? いいものはいいと、気持ちよく受け入れられる心の広い姑になりたいものである。嫁、いないけれどね。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。