【レクサス IS プロトタイプ 試乗】ISらしさの表現、デザインは適切か…千葉匠

試乗記 国産車
レクサス・IS 350 “F SPORT” プロトタイプ(参考画像)
  • レクサス・IS 350 “F SPORT” プロトタイプ(参考画像)
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ショー会場と屋外とでは、やはりデザインの印象が異なるもの。箱根ターンパイクの爽やかな陽光の下で見る新型『IS』のプロトタイプは、2週間前にソウルショーで感じたディテールの煩雑さが薄まり、フォルム全身にみなぎるダイナミックさがストレートに伝わってきた。

それを確認しつつIS250を除く各グレードを試乗してみて、デザインから受ける視覚イメージにいちばん相応しいと思えたのはIS350のFスポーツ。言うまでもなく新型ISで最もスポーティなグレードだ。318psのV6は力強いだけでなく中高回転域で伸びやかだし、後輪操舵がコーナリングの俊敏さを演出してくれる。

おかげでペースを上げるほど楽しくなる…のだが、運転手が「クルマに急かされている」ような感覚がなきにしもあらず。これって新型ISに相応しいのだろうか?

比較のために現行型のIS350・Fスポーツにも乗ってみたところ、軽快な反面、ボディが常にヒョコヒョコと上下動して落ち着かない。それに比べて新型はグレードを問わずしっとりとした乗り味で、車格感が2ランクぐらいアップした印象だ。このしっとり感を新型の最も愛すべきキャラクターだとすれば、エクステリアのダイナミズム表現はちょっと「やりすぎ」かもしれない。

プランビュー(俯瞰視)で見るボディサイドの紡錘形ラインは、現行型から受け継ぐISの良き伝統。ボディの前後を丸く滑らかに絞り込むことでフェンダーのフレアの張り出しが強調され、4輪がしっかりと踏ん張って見える。

そこまでは納得なのだが、ショルダーのキャラクターラインがフロントフェンダーに「乗り上げ」たり、サイドシルからリヤコンビランプへラインを「跳ね上げ」ているあたりはどうだろう? ダイナミックさの表現としては直接的でわかりやすいけれど、しっとりとした大人の味わいとは違う。

だからこそIS350・Fスポーツにこのデザインが似合うのだが、これは「+αのスポーティさ」を体現したグレード。新型ISの中核とは思えない。では、ハイブリッドのIS300hはどうかと言えば、その運転感覚は当然ながらIS350とはまったく異なる。

ターンインでエンブレが効かないハイブリッドは、ターンパイクのようなワインディングでは運転のリズムが取りにくい。むしろ街乗りや高速巡航など、日常的な使用シーンで真価を発揮してくれるのがIS300hだろう。しかしそんなキャラクターを是とすれば、デザインがダイナミックすぎるように思えてならない。

走りとデザインの両面から、「これぞ新型IS」はどのグレードか? 時代性を考えればIS300hが販売の主力になるのかもしれないが、おそらく最良の妥協点は、FスポーツではないIS350だと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

千葉匠|デザインジャーナリスト
デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。AJAJ会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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