【トヨタ クラウン 3.5アスリート 試乗】快音を放つエンジン、体育会系”男気”グレード…青山尚暉

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クラウン アスリート
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14代目『クラウン』のパワーソースは3リットルV6、3.5リットルHVが消滅し、HVは2.5リットル直4へとダウンサイズされた。そして販売の主力はHVである。

しかし、トップグレードたる3.5リットルV6モデルが例によって アスリートのみに設定される。

3.5アスリートを走らせれば、ズバリ、外界と遮断されたかのような静かさや滑らかさ極まる乗り心地を最大の持ち味とするロイヤル系やアスリート2.5リットルモデルとは別物。先代モデルでロイヤル系とアスリート系の差が小さかった…という(アスリート側の)ユーザーの声にしっかりと応えたものと言っていい。

ちなみに、ロイヤル系とアスリート系では顔つきはもちろん、同パワーユニット搭載車でも足回りが異なる。「いなし」と「張り 」を主眼としたコンセプトは同様だが、アスリート系はAVSと呼ばれる、コストのかかったモノチューブショックアブソーバーと減衰力制御が加わった専用チューニングが施されている。

無論、315ps、38.4kg-mのパワーは強烈。シリーズ中、唯一8速となるATにはパドルシフトも備わり、豪快な加速力が味わえる…なんてことは想定内。むしろここで報告したいのは、エンジンの気持ち良さ。徹底してスムーズなのはもちろん、高回転域で放たれる快音がたまらない(巡行時は静かでクラウンそのもの)という事実だ。

そもそも先代比でヒップポイント約-20mm、重心高約-10mmの基本設計もあって、フットワークテイストも俄然スポーティーだ。 標準で18インチタイヤを履くため乗り心地はやや硬めだが、角は丸く、重厚感ある乗り心地はクラウンとして許容範囲内と思える(最小回転半径は5.2mのまま)。結果、ステアリングのダイレクト感とともにドライバーを”その気に”させるドライビングプレジャーを目いっぱい味合わせてくれるのだ。峠道での楽しさ、快感度は歴代クラウン最上と言っていい。しかも段差越えでのショック、音と振動のマナーは欧州の高級セダンを上回る場面もある。

クラウンは今でも国内専用車としての位置づけを守り抜いている。けれど、この3.5アスリートはもはやクラウンの域を超えた、欧州でも勝負できそうなスポーツセダンに仕上がっていると思える 。ドライバー優先の思想はロイヤル系と違い、シートアシストグリップやリヤオートエアコンが設定されていないことからも証明される。

そう、3.5アスリートは紛れもなくクラウン史上最高のドライバーズカーだ。2.5リットル直4となったHVとは別の方向性でReBORN CROWNを象徴する、体育会系”男気”グレードと言っていいだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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