今年も例年通り、私の評価軸は以下の2点です。(1)パーソナルモビリティとしての素養。(2)30年後の自分が安心して運転できるクルマ造りがなされているかどうか。
それを踏まえて熟考し、結果、10点を投じたのはトヨタ『86』/スバル『BRZ』でした。上記(1)の理由に加えて、多田CEから「売りっ放しにはしない。中古車市場でも輝く存在するための秘策を考えている!」と、10代、20代の「新・頭文字D世代」に向けた力強い言葉を頂けたことが大きな後押しに。
7点のマツダ『CX-5』と4点のレンジローバー『イヴォーク』は、上記(2)の理由から。両車ともに、人間工学上乗り降りがしやすいとされるヒップポイント700mm前後からの視界は、死角が少なく積極的に“見る運転”ができる上に、CX-5に至っては、徹底した面圧調整がなされた長距離でも疲労度の少ないフロントシートや、リバーススプリングが生み出す反力にまでこだわったスムースな走りをアシストするオルガンペダルなど、いつもの運転が自ずと安全な運転スタイルとなるように促しているところに共感しました。
2点の日産『ノート』は乗り味に粗削りな部分があるものの、シーンによってはハイブリッド要らずの低燃費性能を発揮するところを評価。同じく2点のスズキ『ワゴンR/ワゴンRスティングレー』は、「エネチャージ」に代表される市街地走行で確実に燃費数値が上がる先進メカニズムの採用により、19年前にデビューした初代ワゴンRとの比較で燃費数値は約2倍としながら、装備を充実させつつ車両価格を6000円も値下げするなど、ユーザーの味方であり続けている点を称えました。
西村直人|交通コメンテーター
1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、二輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。(社)日本自動車連盟の機関誌「JAF Mate」では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。