【COTY 選考コメント】マツダの受賞挨拶に驚きと感銘を受けた…桂伸一

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マツダ 藤原清志執行役員(右)
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  • マツダ・CX-5
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「桂さんはトヨタ『86』/スバル『BRZ』に10点だと思っていました…」。走り屋系ジャーナリストだからこそ、こう言われるのだが、もちろん評価はしている。トヨタとスバル、日本の自動車産業が手を組んで開発、送り出した素晴らしい1台だから。

ただしCOTYへの配点は「万人に向けてお勧めできるクルマ選び」を基本とする立場からは、子供のいる家庭に向けて「スポーツカーが今年の代表です」とは言いにくい。

なので、クリーンディーゼルのエンジン単体としての完成度も素晴らしく、乗れば重いSUVを軽快に速く好燃費で、乗り味も優れ、しかも操作に対して思いどおり自然に操縦できコストも魅力なマツダ『CX-5』に10点を配点した。

その他の配点は以下の通り。

●レンジローバー『イヴォーク』:5点(レンジローバーらしい強靭な足回りと運動性能、ダウンサイジング2Lターボによる走行性能の素晴らしさと、日本にはないデザイン力を評価)

●フォルクスワーゲン『up!』:4点(日本を含む世界のミニカーに衝撃を与える操縦安定性と安全基準の高さ、質感の高さと、この価格で攻められて対抗できるクルマは国産含めてどこにもない…といえる完成度を評価)

●トヨタ『86』/スバル『BRZ』:3点(冒頭の内容に加えて、水平対向エンジンとFRレイアウトによる重量バランスに優れたスポーツカーの誕生と、その操縦性の楽しさをこの時代に再認識させたこと。モアパワーの感は今後の進化に期待だが、まずはこのカタチを世に送り出したことを評価)

●BMW『3シリーズ』(セダン/ツーリング):3点(変化しつつあるBMWの操縦安定性と乗り味がとても良くわかる1台。遅れていたハイブリッドとディーゼルを一気に導入したことも高評価)

以上、クルマの内容に関しては選考委員それぞれの詳しいコメントを参考に、意中のクルマに試乗すると、より明確になると思う。

それよりも、大賞を受賞したマツダを代表して壇上に登られた藤原清志執行役員の受賞挨拶に感動した。「COTY本サイト」で展開されているので詳細はそちらをごらんいただくとして、少しだけ。

「厳しくなる日本の自動車メーカーのなかで大賞の受賞は励みになり、次の時代に向けて頑張れる…2006年頃からのSKYACTIV戦略から〜CX-5という大きな子供を〜このように評価して頂き感謝しております」と、そこまでは普通。

そしてup!には「日本の小型車もしっかり造れよ」…イヴォークには「デザインを中心とした素晴らしい文化と香りを持つ」…、3シリーズには「ディーゼルを導入され真っ向勝負です」とライバルを讃えた。

さらに86/BRZに対しては、この時代にスポーツカーを送り出したことへの感謝と、ライトウエイトスポーツを牽引してきたマツダの立場も踏まえて、日本の自動車業界として世界で戦えるものをいっしょに造り育てて行きたい、という主旨のライバルへの称賛と日本自動車業界に対しての思いのこもった挨拶は拍手喝采もので、まさに「スピーチ・オブ・ザ・イヤー」であった。

大賞がCX-5に決まったからこそ聞けた内容だが、マツダ広報部に聞くと、広報で用意したコメントではなく、86/BRZに20ポイントほど差がつき始めた頃から、これはもしかして獲れるかも…という思いからスピーチの内容を考え始めたようです。なのでまさにアドリブ。

これほど身内はもちろん、業界関係者を讃え、ライバル車を称賛しつつ、ユーモアとウイットに富んだスピーチができる“日本人”がいたこと(失礼ながら)に驚きと感銘を受けた。

個人的に10点の配点は間違っていない。と自信を持って言える。その証拠はみなさんがディーラーに行き、ご自身でステアリングを握ることで実感できると思う。

桂伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー/AJAJ会員
1982年より自動車雑誌編集部にてリポーター活動を開始。幼年期からの憧れだったレース活動を編集部時代に始め、「乗れて」「書ける」はもちろんのこと、読者の目線で見た誰にでもわかりやすいレポートを心掛けている。レーシングドライバーとしての戦績は、アストンマーティン・ワークスからニュルブルクリンク24時間レースに参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。10年は レース直前にスポンサー絡みのドライバーに割り込まれて不参加。11年はクラス5位。今年は…!?

《桂伸一》

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