【インタビュー】しゃべるクルマは成長する…TOKYO FM 原田洋子プロデューサー

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TOKYO FMの原田洋子さん
  • TOKYO FMの原田洋子さん
  • ホンダ フィットハイブリッドベースのプチェコ
  • 開発を手がけたQosmoの徳井直生CEO
  • ホンダ フィットハイブリッドベースのプチェコ開発現場のようす
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TOKYO FMをキーステーションに全国36局でオンエアされている『Honda Smile Mission』(毎週月~金の8:10~8:17OA)で、「プチェコ」と名付けられたしゃべるクルマがラジオパーソナリティーとしてデビューすることになった。

ホンダ『フィットハイブリッド』がベースのプチェコは毎週、全国を取材して周りながら、単にしゃべるだけではなく、人との会話を通じて育っていくという。Honda Smile Missionのプロデューサーを務めるTOKYO FMの原田洋子さんに、しゃべるクルマをラジオパーソナリティーに起用した経緯を、また開発に携わったQosmoの徳井直生CEOには技術面での工夫などについて聞いた。

---:まず番組の特徴からお聞かせください。

原田:1週間に1つの都道府県を回って、月曜日から金曜日まで、それぞれの曜日ごとに食やその土地の注目の人といったテーマがあるのですけれども、クルマに乗って出かけて行って、1人ひとり取材をして紹介している番組です。クルマがあるからこそ行ける場所というのもあって、自然の中だったり、北海道のすごく遠くの高校の校庭にも出かけて行ったりします。リスナーの方々に、各地で頑張っている人たちの笑顔を届けることによって、毎朝どこかでみんなが元気になれる瞬間を提供します、というのが番組のコンセプトですね。

---:これまで取材に使っていたプチェコがしゃべるクルマとしてバージョンアップしましたが、その狙いは。

原田:TOKYO FMという会社はラジオ局ですけれども、新しいエンターテインメントを常に色んな形でリスナーの皆さんと共有すべく、挑戦みたいなことも含めてやっています。番組で日本を周り始めてから4周目なのですが、せっかく毎週日本のあちらこちらに出かけているので、単にレポーターが行くだけではなくて、何かクルマをひとつのコミュニケーションツールのようなものとして、リスナーとふれあう場をつくることができるのではと、そういうところから生まれてきたアイデアですね。

---:プチェコは、今後番組にどのような形で出演していくのですか。

原田:ルーシーというレポーターの相棒として取材に行きます。その取材先の人、取材先に集まってくれた子供達、それから取材先にわざわざ出てきてくれる人達がいると思うので、その人たちにプチェコにちょっと話しかけてもらったり、会話を楽しんでもらったりすることでプチェコが育ってくれれば良いなというのと、その土地の面白い言葉だったり情報をプチェコが覚えるとか、そういうことで会話の面白さが、番組で出せれば良いと思っています。

プチェコ見たよとか、プチェコとこんな話したよ、みたいなものがFacebookやTwitterで共有されることで、私達の活動をリスナーの人や取材先の人に楽しんでもらえること、そこがスタートです。私達も実はやってみないとわからないというところが本当にありますので。

---:育つクルマということですが。

原田:プチェコは、みんながいろいろ話しかけてくれると、その話しかけてくれたことに対して答えていきます。それを覚えていき、さまざまなコミュニケーションの形を自分の中で勉強していきます。取材すればするほど知識が加わっていきますから、半年経つと半年後のプチェコに進化していると思います。

それと、番組で日本を3周半回ってきて蓄えた財産、取材してきた中身、それが約800トピックあるので、オリジナルの知識としてプチェコのデータベースに入れ込んであるというのも特徴ですね。

---:具体的にはどういう会話を、どのようなテクノロジーを用いて実現するのですか。

徳井:基本的にはSiriのように何か質問に対して正しく答えを返すというものを目指しているのではなくて、何か聞いた時にそれに対してちょっと面白い答えを返してくれるということを意識しています。Siriがユーティリティーだとしたら、こちらはエンターテインメントの人工知能、会話のシステムをつくるということを目標にしました。

具体的に何をやっているかというと、ネット上で人が会話してますよね、Twitterや、Facebookに書いたり。そういうデータをとにかくたくさん集めています。ある人が『おはようございます』とか、『お疲れ様です』と言った時に、他の人が何と返してるのかというのを、データベースとしてとっています。

例えば『コンビニ行ってくるよ』ってプチェコに話しかけると、『カップラーメン買ってきて』という答えが返ってくるという感じですね。こうしたカジュアルな会話に、過去の取材のデータが有機的に結びついていく瞬間があって、さっきの『カップラーメン買ってきて』という答え後に、『ところでラーメンっていえば尾道に行った時に尾道ラーメン食べたよね』みたいな、これまでの取材データと、Twitterなどでの会話のデータベースから合成されたものが、組み合わさって会話が進んでいきます。

---:音声認識はどうしているのですか。

徳井:それはAndroidの技術を使っています。全部我々で開発するのは難しいのでGoogleの仕組みを活用しました。データベースから単語をチョイスして文章にしていく、そのプログラムは独自に開発しました。

---:開発していく中で苦労した点は。

徳井:やはりネットワーク上のTwitterなどの会話はかなり表現がくだけています。スラング的な言葉もたくさん出てくるので、その処理をどうするか悩みました。今回に関してはエンターテインメントということで、ある程度カジュアルな返事、くだけた返事も面白いのではということで、あえてカットしませんでした。

《文責 小松哲也》

《まとめ・構成 土屋篤司》

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