時代考証の視点から、1955年当時のDSは相当に未来的だったろう。が、DS5のシュールさもたいしたもの。とくに運転席まわりは航空機を元ネタに頭上にもトグルスイッチを配置している。
3分割のガラスルーフ、腕時計のメタルバンドをモチーフにしたシートなどどこも斬新。一方でコンソール下段ポケットは手が見えない奥まで入るほどの大容量で、トランクも下手なワゴンを凌ぐ大容量と、実用を疎かにしないのがフランス車らしい。
もちろん外観は無個性な箇所などなく、どこもかしこも主張するディテールだらけ。フロアパネルはBピラーから前が新規、後部がC4ピカソといい、サスはフロントがストラット、リアはトーションビーム。執拗なタイヤの接地感はいかにもシトロエンだが、乗り味はスポーティ方向より、このクルマのキャラに合わせるならにコク、しっとり感を期待したい…とも思った。
1.6リットル4気筒ターボ+6速ATのパフォーマンスも、このボディに対し少しも不足はない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。