ZMP RoboCarがクラウドと合体…MS Azure活用の自動車開発を紹介

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RoboCar MV
  • RoboCar MV
  • Go Azureでは、マスコットキャラクター「クラウディアさん」のCGが披露された。このCGもAzure上のCPUをフルに活用してレンダリングされた
  • ZMPのAzure利用イメージ。車からのあらゆるデータはクラウド上に保存できる
  • デモでは、iPadを利用した遠隔操作を行った。iPadを傾けることでアクセスやステアリングを制御できる
  • クラウド上に収集されたデータは、ブラウザ経由の管理画面でモニタリングできる
  • 2次元レーザーレンジファインダー。前方障害物とその距離を検知
  • ボディ4隅に取り付けられるカメラ。障害物センサーとして使用
  • RoboCar MVのコックピット。規格はミニカーなので一人乗り

 マイクロソフトのパブリッククラウドプラットフォームであるAzureの開発者向けのイベント「Go Azure」が29日開催された。

 Go Azureは、マイクロソフトがAzureの新しいバージョンのリリースに合わせて、最新の事例や新機能の特徴を紹介するものだが、この基調講演において、ZMPのRoboCarのデータをAzure上に集約し、その監視・制御・データ分析をするシステムが、デモとともに発表された。

 ZMPのRoboCarは、EVやITSの研究開発のための各種センサーや制御モジュールを搭載した実験用のプラットフォームだ。ZMPでは、これらのセンサーや制御モジュールなどを部品メーカーやEVメーカーに提供するだけでなく、自社でもRoboCarの自動運転や安全運転支援、アクティブセーフティのソリューションを研究開発している。

 RoboCarも従来は、走行データをデータロガーなどを経由して監視したり、分析していたが、クラウドプラットフォームであるAzureを利用することで、ほぼリアルタイムな走行データの監視、ロギング、分析が可能になる。どのようなデータが監視・収集できるかというと、エンジン(モータ)、ブレーキ、アクセス、ステアリングなどの状態、速度、走行距離、GPSデータを始め、監視カメラやレーザーレンジファインダーを含む各種センサー類の情報、CANデータなどあらゆるデータが収集できる。運転手の状態を撮影するカメラや心電図センサーがあれば、運転手の心拍数や健康状態なども把握できる。

 これらデータはすべてクラウド上に集約されるため、それらの閲覧や利用は、基本的にPCやタブレットなどのブラウザで行うことができる。インターネットを利用する場合、遅延の最低時間の保証は得られないが、クラウドを経由して自動運転の制御も不可能ではない(デモではWi-Fiを利用してiPadによる遠隔操作を行っていた)。

 しかし、これらのデータを収集して分析するというのは、トヨタや日産などは独自の研究開発や実証実験などで行っている。Azureのようなオープンなパブリッククラウドを利用するメリットはどこにあるだろうか。

「実験データの共有が広がり、多様な走行データのデータベースの構築が可能になります。その結果、分析精度の向上も期待できるでしょう。業界や開発コミュニティでのナレッジの共有や情報交換が広がります。(ゼットエムピー 取締役 新規事業開発担当 今西暢子氏)」

 他にも、膨大な走行データの容量を気にせず収集できるというメリットもありそうだ。あるいは、研究開発時に、データ収集と分析のためのプラットフォームとしてAzureのようなサービスを利用すると、自前ですべてのITリソース(ハードウェア、ソフトウェア)を自前で用意しなくても済むという効果もあるだろう。EVやその監視・制御ソリューションを開発し、それをサービスとして商品化する場合も、ITリソースの部分をクラウド利用で効率化、およびコストダウンするという考え方もある。

 EV市場は、新興市場ということもありベンチャーの参入が盛んである。そのような企業にとっては、開発過程やサービス展開時のITインフラ(サーバ、ストレージ、ネットワーク)やプラットフォーム(ソフトウェア)の部分でクラウド利用というソリューションはこれから広まるスタイルかもしれない。

 ZMPでも、今後はカメラ画像の処理をもっと多様化させるため、通信の画像帯域を広げる研究や、それら画像データを含むセンサーデータ(その多くは非構造データ)のマイニング技術の開発に力を入れるとしていた。

《中尾真二》

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