【BMW X5 試乗】クリーンディーゼルが今後の主流に…松下宏

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日本でもクリーンディーゼルに対する注目が高まる中、BMWも初のクリーンディーゼル搭載車を『X5』に設定した。現行X5は2007年6月の発売でモデルサイクルは長期化しているが、クリーンディーゼルを搭載したxDrive35dブルーパフォーマンスで魅力アップを図ってきた。

搭載エンジンは直列6気筒3.0リットルで、コモンレール直噴仕様+インタークーラー付きツインパワーターボなどによって180kW/540N・mのパワー&トルクを発生する。

X5は大型のSUVなので車両重量も2220kgと重いが、この動力性能があれば重量は問題にならない。ガソリン車でいえば、V型8気筒5.5リットルエンジン並みのトルクを持つからだ。

環境性能については、尿素を使って排気ガス中のNOxを大幅に低減するSCR(選択触媒還元)システムや、排気ガス中のPMをフィルターに吸着して燃焼・除去するDPF(粒子状物質除去フィルター)などによって、世界で最も厳しい日本のポスト新長期規制をクリアした。

運転席に乗り込み、エンジンを始動させて走り出しても、普通に走っているとガソリンだかディーゼルだか分からないくらい。

クルマの外にいてアイドリング状態の音を聞くとディーゼル特有の音が聞こえるが、防音対策が施された室内にはエンジン音がほとんど入ってこない。アイドリング中の騒音や振動のレベルは、ガソリン車に比べたらわずかに高いかなという程度だ。

アクセルを踏み込んだときの回転の上昇もまずまずスムーズで、タコメーターの針はガソリン車のように上昇していく。レッドゾーンが5000回転から始まるのを確認しないとディーゼルであることに気付かないくらいのスムーズさと考えていい。

加速の力強さは前述の高トルクが示す通り。重量級のボディをぐいぐい加速させていく。1750回転との低回転域から最大トルクを発生するので、アクセルを軽く踏むだけで力強い加速が得られる。この余裕はとても気持ちが良い。トルクの太さに加えて8速ATと組み合わされることが、滑らかな加速を実現している。

乗り心地はかなり硬め、というかしっかりした印象。標準仕様の19インチタイヤ装着車と、オプションのダイナミック・スポーツ・パッケージをオプション装着して20インチタイヤを履いた仕様の両方に試乗したが、乗り心地はどちらも相当に硬かった。

839万円の車両本体価格は相当に高い。しかもダイナミック・スポーツ・パッケージを装着したモデルは、ほかのオプションも含めて合計972万8000円の仕様になっていた。

ベース価格をガソリンの3.0リットルターボと比べると41万円高いが、タイヤが18インチから19インチになって、ヘッドアップディスプレーが標準で付くなどの違いがある。

クリーンディーゼルはエコカー減税で自動車取得税と自動車重量税が免税になり、クリーンディーゼル補助金も得られるので、これだけで最大57万円ほどのメリットが得られる。

更にガソリン車はハイオク仕様なので、クリーンディーゼルと比べたときの燃費の差も大きい。経済性を考えたら断然ディーゼルだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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