【トヨタ アクア 試乗】小さなプリウスではない!?…青山尚暉

試乗記 国産車
トヨタ・アクア
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驚愕の40km/リットル(10-15モード燃費、「L」グレードのみ)を達成した、世界でイチバン燃費がいいとされるトヨタ『アクア』を、小さな『プリウス』と例えるのは、100%は正しくない。確かに輸出仕様は『プリウスc』と呼ばれてはいるけれど……。

だつてプラットフォームは『ヴィッツ』。HVシステムは先代プリウスのものを大幅に改良したもの。そうした“流用”はもちろんコストを考慮してのことだが、プリウスの兄弟というより、トヨタコンパクトとの血縁関係がより濃い。海外でプリウス兄弟を語るのは、認知度の問題である。

メーター回り、とくに「G」、「S」グレードに装備されるマルチインフォメーションはプリウスの蛍光管と違い液晶で、より新しく美しく先進感がある。そう、わくわくできるゲーム感覚がより強い。

プリウスとくらべ、室内がどのぐらい狭いかと言えば、後席で比較してみると、身長172cmのボクの前寄りのドラポジ基準(身長160cmの女性と同じだ)でプリウスは頭上に110mm、膝回りに230mm。アクアは頭上に100mm、膝回りに160mm。なるほど、ボディサイズの小ささがそのまま反映される。そう、驚きのパッケージではない(ホンダ『フィット・ハイブリッド』は同160mm、210mm)。

ただし、荷室はけっこう広い。幅1000~1075mm、奥行き700mmと、たとえばマツダ『デミオ』よりずっと広く容量がある。

そんなアクアの走りは、エコ最優先のHVカーイメージを覆すものだった。何しろ目指したのは2020年のコンパクトカー。出足からモータートルクのアシストあるトルキーな加速力を示してくれるのは想定内としても、1.5リットルエンジンは回してもノイジーじゃなく、乗り心地はしっかりフラット。足回りにあまりコストを掛けていないのは当然としても、プリウス最大のの弱点と言われていた段差越えでのショックもこちらは角が丸められ、それほど気にならない。

しかしそれ以上に嬉しいのがプリウスとはまったく別物ものの軽快感あるキビキビしたフットワーク、低重心感覚だ。おかげでボディサイズのコンパクトさもあって、燃費スペシャルなHVにもかかわらず、ステアリングを切るとスパッと曲がり、車体を手足のように操れる。そう、人車の一体感があるということだ。実燃費は雨の中の一般道で20~25km/リットルは軽く出た。

ただ、「ツーリング」パッケージの16インチタイヤは乗り心地が硬く、粗すぎ。最小回転半径は大型ミニバン並みの5.7mにもなる。個人的にはお薦めできない。

さて、アクアのペットフレンドリー度はどうか? 「残念だけど、フィットのように後席を低く格納してリヤドアから乗せ、荷室部分へ歩いていかせられるような特技は持ってない。ペット用のアクセサリーの用意もない。小中型犬専用……、と言ってもよさそうワン」(愛犬の大型犬/ラブラドールのマリア談)。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組も手がける。

《青山尚暉》

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