パナソニックの大坪文雄社長は3日の2012年3月期第3四半期決算会見で、三洋電機買収のシナジー効果について聞かれ、「いま、性急に求めるべきではない」と憮然とした表情で答えた。
同社は12年3月期の当期純損が従来予想の4200億円から7800億円に拡大する。その大きな要因となったのが、09年に買収した三洋電機の“のれん代”で、その減損処理として新たに2500億円の損失を計上することになった。大坪社長によれば、新たな船出がうまく進むように、今回の決算で課題をすべて出したためだという。
「三洋電機を買収したことによって、2018年に向けて環境革新企業、あるいは丸ごと提案型企業になろうとしている。もし三洋を買収しなかったら、今のような経営環境のなかで、パナソニックとして大きな成長分野を見いだすことができたでしょうか。私はそうは思わない。三洋を買収することによって、太陽電池や車載用の電池などパナソニックにない技術を手にすることができた。したがって、三洋の買収はわれわれの将来に対する方向を明示するという意味においてきわめて有効だった」
大坪社長は今回の減損を見て、シナジーとか、ディスシナジーだというのは時期尚早で、「これからの歩みを見て判断していただきたい」と訴えていた。