筆者も10点を投じた日産『リーフ』が、圧倒的な得点差で大賞に輝いたのは、いたって順当だと思う。
リーフの登場により、これまでEVというものが夢物語のような話だった中で、多くの人にとって2011年を境にEVというものへの認識が少なからず変わったはず。リーフのような非常に完成度の高いEVが世に送り出されたこと、そしてその利便性をより多くのユーザーに享受してもらえるよう普及に向けた努力を惜しまない日産の姿勢に対し、筆者は早い段階から、リーフこそ2011-2012年のイヤーカーにふさわしいと思っていた。
また、今年のノミネート車はマイナーチェンジモデルや派生モデルが多かったこともあり、インパクトという点でも、リーフ以外にこれといって突出した存在がなかったことも(ある時期までは『ヴィッツ』が強敵になるのではないかと予想していたが…)、この圧倒的な得点差につながったのだろう。
その他では、もしも今年リーフがなかったとしたらコレだなと思った、2011年を大いに象徴する1台に違いないトヨタ『プリウスα』に6点、マイナーチェンジではあるが、完成度の高さを評してメルセデスベンツ『Cクラス』に4点、同じくマイナーチェンジながら初めてスカイアクティブのコンセプトを打ち出したマツダ『デミオ』に3点、新しい局面への決意を感じさせるプジョー『508』に2点を投じた。
輸入車もまた抜きん出た車種がなかったので、どれがインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞してもおかしくなかったと思うが、けっきょく全体の中でも2番目に多い得点を獲得したCクラスが、わずか4点の差でプジョー508に競り勝ったものの、ボルボ『S60/V60』、VW『パサート』、BMW『1シリーズ』もまんべんなく点を獲得していた。
全体としてはリーフ以外の日本車勢の存在感が少々薄かったように感じられ、ちょっとさびしい気もしなくなかった…。
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界に身を投じ、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスへ。近年はウェブ媒体を中心に活動中。「クルマ好きのプロ」として、ユーザー目線に立った視点と幅広い守備範囲を自負する。