モーターショーで何といっても魅力を感じるのは近未来の乗り物を想像させるコンセプトモデルたち。
登場した時のホンダの『S2000』やレクサス『LFA』のように、実際に市販化を前提としたモデルも魅力的だが、実現にはかなり時間がかかりそうでも未来的な感覚を伝えてくるショーモデルはモーターショーの華だ。
ホンダは東京モーターショーで、4輪と2輪で積極的にコンセプトモデルを出品してくれたが、生憎コンセプトモデルはスタイリングとインテリアのみの披露で、気になるメカニズムはベールに隠れている。
しかしオートバイとなるとやや事情は異なる。特に、スクーターのようなフルカバードタイプではない、スポーツタイプのバイクでは、メカニズムの露出も大きくなりがちだ。
今回も外から見える範囲でユニークなメカニズムが発見できないかと、探していたらあった! ホンダのEVスポーツバイク『RC-E』。スタイリングはレトロテイストで往年のRC系ファクトリーレーサーを思わせるものだが、中身はEVというモノ。注目すべきは、そのモーターユニットのレイアウトだ。
何とモーターの中心軸がスイングアームのピボットを兼ねているのである。実際にはモーターはこのシャフトが貫通する中空軸によってローター部分が形成されることになりそうだが、インホイールモーターの中心軸がアクスルシャフトを兼ねるように、このデザインでも合理的に軽量化が望めそうだ。
それにドライブスプロケットがスイングアームピボットと同軸にあるということは、サスペンションがストロークしてもチェーンの動きを妨げることがない、というメリットもありそうだ。
今にも走りそうな印象だが、説明員によればまだモックアップに過ぎず、純粋にレイアウトの提案段階にあるモデルだとか。EVのオートバイではエネルギー効率のいいインホイールモーターが主流だが、ホンダとしてはオートバイらしい挙動を保つためにもリヤホイールが軽量でチェーン駆動であることにこだわりたい、と言う。
駆動方式がEVになっていくのなら、こうしたメリット、楽しさも生まれてくる。ホンダRC-Eは、そんな魅力を感じさせるコンセプトモデルなのである。