もっと大きなサイズであれば、3列シートを持つSUVというのは珍しくないが、このクラスで3列目までちゃんと満足に使えるSUVというのは、今まであるようでなかった。そこがまず『キャプティバ』の特徴で、これなら日本の道路事情下でも十分に扱える。
装備面では、近年のSUVでは常識となってきたHSA(ヒル・スタート・アシスト)や、DCS(ディセント・コントロールシステム)はもちろん、最近になって高額な車種から徐々に採用例の増えつつあるARP(アンチ・ロールオーバープロテクション)という、SUVの弱点である横転に対するデバイスが標準で付く点も、このクラスでは貴重。最新の4WDシステムのおかげで悪路走破性にも不安はない。
また、細かい話だが、テールゲートのガラスハッチ部分が単独で開閉できる点も特徴。重宝するのに近年なぜか採用例が減っているように感じるところだが、キャプティバにはある。
並みのミニバンには飽きたが、でもやっぱり3列シートが欲しいという人には、まずはとりあえず実車を見てみるべき。韓国製という点がひっかかる人も少なくないかもしれないが、欧州市場がメインのクルマだけに、走行性能などの仕上がりは欧州基準だし、そもそも韓国製であることは、むしろ安心材料と捉えていいのではないか。
この内容で354万円という価格も、なかなかのコストパフォーマンス。同じ価格帯でキャプティバほど万能なクルマなど、ちょっと他に思い当たらない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスへ。近年はWEB媒体を中心に活動中。「クルマ好きのプロ」として、ユーザー目線に立った視点と幅広い守備範囲を自負し、レスポンス試乗記には他媒体では諸事情により書きにくい本音も!?