帝国データバンクは、「円高関連倒産」の動向調査を実施し、その結果を発表した。
2011年の「円高関連倒産」は、8月7日時点で28社に達した。関連倒産が多発した昨年の同日時点の26社を2社上回るなど、高水準が続いている。
倒産原因別では、28社のうち「デリバティブ損失」が13社で全体の約半数を占める。「受注減少」が7社、その他為替差損が5社、輸出不振が2社と続いた。
業種別では、28社のうち「卸売業」が16社で全体の57%を占めた。「製造業」は7社、「小売業」が4社だった。
「円高関連倒産」は昨年12月の12件をピークに、足元では小康状態が続いている。しかし、「デリバティブ損失」による倒産を中心に、その後も毎月発生している。こうした中、今回の急激な円高は、東日本大震災から立ち直りつつあった多くの企業にとって、大きな足かせとなっている。
今後は、収束に向かいつつある「デリバティブ損失」に代わって、「受注減少」や「輸出不振」による倒産が増える見通し。震災や原発事故を機に企業の海外シフトが一層進めば、下請け企業の受注もさらに落ち込むことが懸念される。輸出競争力も低下することで、輸出関連企業のダメージは大きい。