【トヨタ ヴィッツ 試乗】自動車好きを唸らせるのはもう無理?…河村康彦

試乗記 国産車

初代モデルの誕生以降、2度のフルチェンジを経験して昨年末に3代目となった『ヴィッツ』。しかし、そんな世代交代ごとに個性を失い続け、今や「特に乗ってみたいとも思わないモデルになってしまった…」と表現したら言い過ぎか?

けれども、少なくともそれが自身の率直な印象。もはや“トヨタ・マーク”が付かなければどこの国の何というモデルかも判別が付き辛いというのが、今のヴィッツというクルマ。インテリアの印象も同様で、ダッシュボードを非対称ルックにしたりはしているものの、そこには「ちょっと新奇性を演じてみたかった」という雰囲気が漂うのみ。初代モデルが“センターメーター”の採用で見せた機能性向上に対する取り組みの姿勢などは認められないし、各部の質感もむしろ従来型よりも落ちて感じられるほど。
 
装備的にも、リアワイパーには必須の間欠モードがなく、フロント・シートベルトも高さ調整機構はナシといった侘しい状況。開発者に問えば「そんな装備は、付けても評価されないので省きました」と答えが返って来るけれど、リアの間欠モードは欧州向けには“全車標準”だったりするのだから、ナメられているというか、「後ろの出来事なんか知ったこっちゃない」(?)というユーザーの方にも問題がアリというか…。
 
乗れば乗ったでツッパリ気味できれいにストロークしないサスペンションのお陰で、これもまた終始安っぽい乗り味。それでも、首都高に上がった途端にフラフラして不安感いっぱいだった『パッソ』に比べれば、「恐くはないだけまだマシ」という事か。
 
そんなこんなで、「もうコスト低減以外には興味はアリマセン」という無言のメッセージが聞こえて来るかのような今度のヴィッツや、やはり同様の日産『マーチ』のようなモデルを目にすると、もはやそれに愛着を抱くどころか、“単なる移動の道具”としてしか見て貰えなくなるのもさもありなん。VW『ポロ』のような「自動車好きをも唸らせるベーシック・モデル」の登場を日本メーカーに期待するのは、もう無理なのか!?

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★

河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。
《河村康彦》

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