なんて大人っぽくなったんだろう。先代がまだあどけなさの残る少年だったなら、この新型は社会に出た青年。そのくらい印象のちがうクルマになっている。これなら、50代60代の男性でも、しっくりと似合うのではないだろうか。
運転席に座ると、『C4』独特のセンターフィクスのステアリングは軽量化のために廃止され、普通のステアリングになっていたけれど、それでもシトロエンらしさはチョイチョイ感じさせてくれる。
エアコンスイッチやステアリングスイッチが個性的だったり、シフトレバーを引いた感触がふんわりしていたり。ウインカーなどの警告音が、4種類に変えられるのも楽しい。インディアンのお祭りのようなウインカー音なんて、他ではとても味わえないものだ。
シートはやや横幅がタイトだけれど、サポートがしっかりあってフィット感がいい。走りだすと、標準グレードは未だATではあっても滑らかさがアップしているし、上級グレードは「EGS」というパドルシフト付きの2ペダルマニュアルで、なかなか味わいのある加速感だ。乗り心地も上級モデルの『C5』に近づいて、絨毯の上をすべるようなシトロエン独特の感触がほのかにある。
こんなに大人っぽくて乗りやすいのに、濃い味わいがあるC4。共に暮らせば毎日の満足度も上がりそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
まるも亜希子|カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。現在は雑誌・ウェブサイト・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー(2010-2011等)選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。