東京電力は31日午前、福島第一原発の専用港内で油が流出していることを公表した。同日8時頃、巡視を行っていた社員が、5、6号機取水口のカーテンウォール付近海面に油膜が広がっているのを発見した。
流出が広がる「物揚場」付近の陸地には容量960キロリットルの5、6号機用重油タンク2基がある。
原子力・立地本部の松本純一副本部長は「津波でオイルタンクそのものが、基礎から10数m移動している状況があるので、配管が引きちぎられていることも考えられる。タンクの周囲に黒いものが噴出している写真も残っているのでその可能性があった」と、説明した。
流出経路は確認中。「見た範囲では薄い油膜程度だが、重油タンクや重油配管などが損傷している可能性を含めて調査を行う」(松本氏)とした。
また、流出した油をオイルフェンスや吸着マットでの回収を試みるが「海が荒れているので、いつ着手できるかは未定」(同上)と、現状での手当はできていない。
東日本大震災の3月11日、現場では重油の供給が行われていた。津波警報を受け、タンカーは湾の外に逃れた。その際に、パイプの切り離しが着実にいなかった、という可能性もあるが、流出が重油タンクであるという断定はしてない。
しかし、被災後に起きた原発事故のため、同社は重油タンクに残る油量なども含めて、設備の点検を終えていなかった。